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風景写真家・松井章のブログ

南米の“幻のラクダ”ビクーニャを撮影するベストスポット

幻のラクダ“ビクーニャ”とは

南米大陸のアンデス高原・アルティプラーノに生息する「ビクーニャ」は、絶滅を危惧される希少なラクダです。
リャマ、アルパカ、グアナコと同じラクダ科の中で、最も標高の高い荒野を好みます。

ペルー・ボリビア・アルゼンチン・チリに生息していますが、その生息地は分断されて縮小しています。かつて200万頭が南米に生息していたといわれますが、20世紀後半には乱獲により約1万頭にまで減少してしまいました。今世紀には手厚い保護により40万頭まで生息数は回復しています。

ラクダは北米で生まれた生き物ですが北米ではすでに絶滅しています。一つは氷河期にユーラシア大陸に移動して、現在よく知られる「砂漠のラクダ」となりました。もう一方はパナマ地峡を越えて南米大陸へと移動して、現在の南米のラクダへと分化しました。

ビクーニャから産出される最高級の毛織物

ビクーニャの体毛は、毛織物でも最高級品として有名です。標高5000mでも生息できる防寒の秘密は、その極めて細く保温性の高い体毛にあります。毛織物として高値で取引されることから、前世紀は乱獲されて絶滅に瀕してしまいました。

リャマやアルパカと異なり、ビクーニャは人に懐かないために家畜化できないことが、乱獲の原因です。繊細な性格のため、捕獲すると食欲を無くしてそのまま死んでしまうのです。そして、胸の白い毛を刈ってしまうと、やはり寒さで死んでしまうそうで、厳しい自然環境に順応したビクーニャは、とても繊細な生き物です。

現在では、ビクーニャの毛は、インカ時代の伝統技法で刈っています。2年に一度、ビクーニャの群れを村人たちは網で囲い込み捕まえます。この「チャク」と呼ばれる方法で確保してから毛を刈り、再び放しています。
この技法は、その地域の村(共同体)のみに許されることで、地元経済を潤わせることで、ビクーニャの保護意識は高まり、今では生息数は確実に増えています。
1頭から算出できる毛はわずか300gほどなので、ビクーニャのセーターは、1000ドル近い値が付きます。

ビクーニャを観察するベストポイント

アンデス山脈の4500m以上の高原ではよく見かける動物ですが、ある程度確実に観察するためには、国立公園や自然保護区に行く必要があります。

たとえば、ペルーの古都アレキパ近郊の「サリーナス・アグアダ・ブランカ自然保護区」、ボリビア・チリ国境のアタカマ高地「エドゥアルド・アバロア自然保護区」、同じくボリビア・チリ国境部の「ラウカ国立公園」は、ビクーニャの観察に適した地域です。

関連ページ:南米のラクダ




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