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“聖なる泉”タンボマチャイ遺跡
ペルー・インカ帝国の都クスコの周辺には、インカ文明の中枢を象徴するような遺跡がいくつもあります。
クスコ近郊で、「聖なる泉」として知られる遺跡・タンボマチャイは、サクサイワマン遺跡からさらに丘を少し登る標高3800mの遺跡です。
この泉は、インカ時代から絶えることなく流れ続け、またその水源がどこにあるのかは今でも謎のままです。インカ以後500年が過ぎても、当時のように泉は水を湛えます。周辺の丘の上には川はなく、サイフォンの原理で水をくみ上げていると言われます。
遺跡の保存状態も非常に良く、どれほど地元の人々に大切にされてきたかが伝わります。遺跡の中心部では、インカならではの非常に入り組んだ石組を見れます。石組が精巧であればあるほどに、その場所が聖地であったことを意味します。
タンボマチャイはまさしくインカ時代の聖地だったのでしょう。
「タンボマチャイ」はインカ族の公用語「ケチュア語」で、今も多くのケチュア族に使われる言語です。
「タンボ」は宿泊施設を、「マチャイ」は休憩所を意味します。かつて王族の「宿場」を兼ねた「沐浴場」であったのではと言われます。
遺跡自体は、インカ帝国以前の先インカ時代(プレ・インカ時代)から受け継がれたものです。
下の2段はプレ・インカ時代の遺跡で、インカ帝国の時代になってから、さらに3段目より上を増築しました。
水の少ない乾燥したアンデスの高原で、水を営々と称え続けるタンボマチャイ遺跡は、インカ文明の技術力の高さを物語る貴重な遺跡です