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アインサ村の1000年の歴史
スペインの歴史や文化において、アラビア人が支配した時代が大きく影響しています。
8世紀頃にイベリア半島のほぼ全域が支配されてから、半島すべてを奪還するまでに実に800年の時間がかかりました。
スペイン人がアラビア人からイベリア半島を取り戻す「レコンキスタ(国土復帰運動)」という単語は知られていますが、どれだけの時間が費やされたかはあまり知られていません。
10世紀頃、徐々にアラビア人の勢力圏が南に駆逐されている時代、ピレネー山脈の南麓のアラゴン地方は、アラビア人が侵略した領土でした。そして、ピレネー山脈という天然の要害は、スペイン人とアラビア人の争いの最前線であったのです。
アラゴン地方の多くが11世紀頃にはスペイン人に奪還されて以降は、城塞は教会に寄贈されて、現在まで残される中世の街並みが建設されました。
ピレネー山脈の南端部の「アルケサル」は、アラビア人がピレネー山脈に築いた城塞です。そして、そのアルケサルから小さな山地(グアラ山地)を挟んで北にあるスペイン人の城塞が「アインサ」です。
この2つの城塞を挟んだ地域が、2つの文化の衝突の最前線だったのです。
現在では2つの村は、中世の時代の古い街並みが残ることから、“スペインで最も美しい村”に選出されたことがある絶景の村です。
”スペインで最も美しい村”の街歩き
アインサの村は、アラビア人と争った時代の城塞が原型です。
約1000年以上前に、2つの川が合流する「河川合流点」の高台に建てられた城塞は、丘を一つ丸ごと包むように城壁で覆いました。
アインサ村は、この小高い丘の城壁の内部にあります。
村を望む城壁に登ると、アインサ村が丘の上にあることが分るでしょう。
村の中心部の広場は、マヨール広場(マジョール広場)です。
古い石畳に村全体が覆われています。
アルケサル村とアインサ村はどちらもほぼ同じ時代に作られた中世の村です。
その重厚な歴史を感じる佇まいは同じですが、色が少し異なるように感じるには、切り出した石の色が異なるためか、あるいはそれがアラビアとキリスト教徒の文化の違いに起因するものでしょうか。
マヨール広場のシンボルはサンタマリア教会の大きなロマネスク調の鐘楼です。
‟ロマネスク“とはローマ時代の建築に由来する古い様式で、質実剛健でシンプルな外見が特徴です。
この美しい広場は、スペイン各地にある旧市街でも特に美しい広場として評価されているそうです。
広場から村の中に入ると、細い石畳の道にびっしりと中世の建物が並びます。
人が少ない路地を歩きながら、中世の時代にこの村はどのような雰囲気であったのか容易に想像することができました。
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