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ベロ谷を覆うオリーブの段々畑
アルケサル村を囲むベロ谷の斜面には、オリーブの段々畑が幾重にも連なっています。
このオリーブの段々畑の歴史は、ローマ時代にまで遡ります。石を積み上げた簡素な段々畑のそれぞれは2000年近い歴史を持っています。
このベロ谷を境に、北のピレネー山脈ではオリーブが生育できない温暖湿潤な気候に変わります。地形によりここまで気候が変わるかのと驚くほどに、谷を一つ越えるだけで植物相が変わります。
古くから農道として使われている道を歩き、谷底へ向かいます。
オリーブ畑といえば、平らな畑に延々と続くイメージがあります。その方が、機械を使って効率的に管理できるからです。
つまり、現代の採算性から見れば、このオリーブの段々畑はとても収益性が低いでしょう。
オリーブの実を落とす機械を入れることもできないので、全てが手作業で管理されているのではと思います。
段々畑に茂るオリーブの木の中には、巨木と言えるほどに太い木もありました。
畑とも森ともいえるオリーブの木立を歩いていると、古代から受け継ぐ財産を継承して行こうとする村人の意志を感じました。
標高差300~400mの斜面を下り谷を見上げると、谷の斜面を覆う緑のほとんどがオリーブであることがよく分かりました。
谷底には、一本の石橋がありました。この橋は、ローマ帝国が建てた橋です。
ローマ帝国は地域を開発するときに、まず幹線道路の敷設を重視しました。
その建設技術の高さを証明するように、スペイン中に今も多くのローマの遺物が現役で残っています。