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風景写真家・松井章のブログ

バルセロナ・ゴシック地区の名所巡りと歴史解説

バルセロナの古代史:カルタゴとローマ

地中海文明が栄えた時代の後期、ギリシア文明が衰退してローマ帝国が飛躍する紀元前2世紀頃に、バルセロナは北アフリカのカルタゴを中心に栄えたフェニキア人が建設しました。バルカ家のハミルカル・バルカが建設したことから、当時は「バルチーノ」と呼ばれていました。

カルタゴとローマが争う第二次ポエニ戦争で、ローマを苦しめた名将ハンニバルはこのハミルカルの息子であり、彼がピレネー山脈とアルプス山脈を越えてローマを急襲したことも、バルセロナを築いたバルカ家の出であったことを考えれば、少し察しが付くというものでしょう。

旧市街のゴシック地区の原型もまたその時代に遡ります。カルタゴの滅亡後、紀元前20年頃にローマ帝国はバルセロナを直轄支配して本格的な都市を建設しました。当時の中心部は、現在のサン・ジャウマ広場(ゴシック街)周辺でした。
ローマ人は土木建築に優れ、植民都市でもインフラの建設に力を入れました。水路、舗装道路、排水溝に加えて、市民生活を豊かにするために神殿や円形競技場、公共浴場などを建設しました。当時のローマ建築物は今もなおヨーロッパ各地に残るだけではなく、教会などの石造建築物の基部となっています。
ヨーロッパにおける「ローマ」という存在は、目に見える建築物に加えて、思想や文化にまで深く背後にどっしりと横たわっているのです。

ローマ帝国の終焉後、8世紀にバルセロナは一時的にイスラム教徒に侵略される時代もありましたが、9世紀にはキリスト教徒が再び奪還して現在へと至ります。

ゴシック地区は元まで辿れば2000年以上の歴史がありますが、現存する街路は中世以降から近代にかけて建てられた石造りの古い建物です。迷路のような細い路地や小さな広場を歩くのが魅力です。
現在、地中海側は埋め立てにより新しい商業地ができていますが、もともとは地中海に面する港であり、海洋交易の拠点として栄えました。

ゴシック地区の“ゴシック”は中世(6~15世紀ころ)の時代の建築様式を指します。この地区はその中世の面影を多く残していますが、19世紀末頃に「万国博覧会」に合わせて行われた修復工事(再開発)を経て、現在の姿になったそうです。

バルセロナ・ゴシック街の名所

カテドラル(サンタ・エウレリア大聖堂)

下記リンクの記事をご覧ください。

サンタ・マリア・ダル・マル教会


10世紀頃に建設されたサンタ・マリア・ダル・マル教会は、船乗りによって建設された教会です。「サンタ・マリア・ダル・マル」を訳せば「海の聖マリア」です。当時はこの教会のそばに海岸線があり、海の潮騒の音が聞こえるほどに海は近かったそうです。

カテドラル(サンタ・エウラリア大聖堂)が王侯貴族に支持されたとすれば、この教会は一般階級に支持された教会と言えるでしょう。

この教会は「バシリカ」というローマ時代の建築様式の一つで、ローマ時代の後期にキリスト教徒が確立しました。特徴は長方形の大きなホールと林立する列柱です。シンプルな造りですが、キリスト教の教会の原型となります。

この教会の位は、カテドラル(司教座教会)より一つ低くなりますが、上位の教会として扱われています。

サン・ジャウマ広場


サン・ジャウマ広場は、ローマ時代のバルセロナにおける中心部で、メインストリートが交差して、広場と神殿がありました。中世の時代、ここにサン・ジャウマ教会が築かれます。1823年にこの教会が取り壊されて、この広場ができたことから、「サン・ジャウマ広場」と名付けられました。
現在は、バルセロナ市庁舎とカタルーニャ自治州庁舎が向かい合っている行政の中心です。

ヘネラリタット宮殿(現在のカタルーニャ自治州庁舎)


カタルーニャ語で書かれたウクライナへのメッセージ「平和、自由、人権のために、カタルーニャはウクライナとともに」。一生懸命に考えると、スペイン語から変換することができました。

ポルタフェリサの泉


ポルタフェリッサの泉は、サンタ・エウラリア大聖堂から西に続くポルタフェリーサ通りにあります。
もともとはローマ時代に建設された城門の内部にバルセロナの町はありましたが、都市が成長するにつれて街路はローマの城門からはみ出ることになります。そうして1295年に「第二の城門」が築かれて、当時の新市街が城門の内部で守られるようになりました。その城門の一部が「ポルタフェリッサの泉(公共の水場)」です。中世以降は水場として残り、その壁には当時の様子が描かれています。

カタルーニャ州旗


街のいろいろな所に、カタルーニャ州旗が飾られていました。

ビズべ通りの渡り廊下


ビズべ通りは、サンタ・エウラリア大聖堂からサン・ジャウマ広場を結ぶ古い街路です。ローマ時代にはメインストリートの一つであったそうです。
中世の13世紀頃に、貴族の館が集まって、現在の街路ができあがりました。

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