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スペインを代表する小皿料理:「タパス」と「ピンチョス」
スペインを代表する食文化「タパス」、そして「ピンチョス」は、スペインのバルで食べる小皿料理として有名です。
どちらもよく聞く名前ですが、今ではこの2つの区別ができない人も多いでしょう。実際に、スペインでは「タパス」「ピンチョス」のバルは混在しているからです。
簡単に分けると、「ピンチョス」は「タパス」の一種と考えて良いです。あるいは、ピンチョスは広義におけるタパスとなります。
スペイン料理の「タパス」とは
スペインに数十万軒もある「バル」で小皿料理として供されるタパスは、本来は食前に飲むお酒とともに一皿食べることで、食欲を増進させることが目的で生まれました。この食文化はとても古く、14世紀前後のスペインのイベリア半島がアラビア王朝に支配されていた時代に遡るといわれます。
それはまさにスペイン伝統料理であり、スペインの小皿料理といえば「タパス」なのです。
スペイン・バスク料理の「ピンチョス」とは
ピンチョスは、タパスと同じ小皿料理ながら、独特な特徴があります。
スライスしたパンの上に、色彩豊かな小料理を乗せて、上から串を刺しているのが、典型的なピンチョスです。
スペイン中に広がる中で、ピンチョスの形態も進化することで、この特徴は旧来のものとなりつつあるのも事実です。
ピンチョスの歴史
ピンチョスの発祥は、スペイン北部のバスク地方です。タパスをアレンジする形で、独自性に磨きをかけて発展しました。その歴史はまだ浅く、1970年代のスペイン内戦が終わり始めた頃で、世界に発信されるほどに発展したのは1990年代からです。
バスク地方が、中央政府の独裁政権による圧政から解放されて、バスク文化やバスク語を自由に表現できる時代の到来と軌を一にしているのです。
バスク地方は、スペインのその他の地方と異なり、独自の言語で発展した地域です。ピンチョスのスペルは「PINTXOS」であり、これはバスク語のスペルなのです。
ピンチョス発祥の地:古都サンセバスティアン
ピンチョスが生まれたのは、バスク地方の古都サンセバスチャンと言われています。ビーチ沿いにあることから、夏にはヨーロッパ中からツーリストが訪れます。彼らツーリストの目を引くために、小皿料理のピンチョスは見栄えも重視して発展したのです。
サンセバスチャンの旧市街には、数百軒のバルが軒を連ね、味を競い合っています。昼間から賑わう各店舗に入ると、カウンターにずらりと豪華に並ぶピンチョスを食べて、何軒もバルを巡るのはサンセバスチャンならではの魅力なのです。