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サルタ地方の北部料理とは
アルゼンチンで近年注目されている美食の地が、「北部料理」のサルタ地方です。
アルゼンチン伝統料理といえば、豪快かつ繊細なバーベキュー「アサード」です。このアサードはアルゼンチンの広大な草原パンパの料理で、アルゼンチン人にとってアイデンティティの象徴ともいえるでしょう。
そんなアルゼンチンにおいて、異色の存在が北部料理なのです。
アンデスのインカ料理との融合
アルゼンチンでは草原パンパのイメージが強いですが、南北約5000キロの国土は実に多様です。
中でも北部サルタ地方は、アンデス山脈に接して、その文化圏はペルーやボリビアの方が近く、アンデス高原の景色が広がります。16世紀までこの地域はインカ帝国の一部であったので、先住民ケチュア族が多く住みます。
このケチュア族が古来から守り抜いたインカの食文化と、スペイン由来の食文化が融合したのが、「北部料理」です。
エンパナーダ
オーブンで焼いたエンパナーダはアルゼンチンでは前菜としても出される国民的なミートパイです。アルゼンチンの人々に、どこのエンパナーダが美味しいかと聞けば、「サルテーニャ(サルタ地方のエンパナーダ)」と答える人が多いほどに、洗練されたエンパナーダを食べることができます。
タマール
トウモロコシの葉で包まれた“ちまき”のような食べ物は「タマール」です。トウモロコシのペーストの中に、くずした牛肉が詰められています。インカの人々の伝統料理です。
このちまきのような包みを約1時間半ほど煮込んで出来上がりです
ウミータ
タマールに似た「ウミータ」は、同じくトウモロコシの葉に包まれたちまきのような食べ物です。中身に牛肉は含まれずに、トウモロコシとタマネギがメインで調理されています。そして、コーンの違いからか、タマールよりもほのかに甘いのがウミータです。
トウモロコシの原産地のアンデス高原には実に多くのトウモロコシがあります。インカの人々が長年に渡り品種改良をした成果です。このウミータには、標高3000m以上で育つ高原性のトウモロコシ「ジャイアントコーン」が使われます。
そして前述のタマールには、一般的なトウモロコシが使用されています。
ロクロ
サルタ地方の代表的な伝統料理が「ロクロ」です。牛肉とチョリソー、潰したコーンを煮込んだ濃厚なシチューで、アルゼンチンでは広く愛されています。
お好みに応じて、サルサやチリを追加して味の調節ができるのも特徴です
ワイン
サルタ地方は、ワインの産地としても有名です。アンデス山脈から流れる水と乾燥した大地はブドウの生育に適しているのです。日本ではあまり馴染みがありませんが、アルゼンチンのワインは主に赤ワイン「マルベック種」です。サルタ地方ではマルベックとともに、白ワイン「トロンテス種」も人気です
ワインの産地ということもあり、高品質なワインを低価格で飲めるのがアルゼンチンの魅力でもあります。