ギアナ高地で最も美しいテーブルマウンテンは、ロライマ山とクケナン山だ。切れ落ちた約1000mの断崖の縁に立って朝日を望んでいると、あまりにも現実離れした絶景に言葉を失うだろう。
ギアナ高地は世界でも有数の天候の激変地で、長く人の侵入を阻んだ土地でもある。カリブ海から流れ来る湿気はときにバケツをひっくり返したような豪雨をもたらす。豪雨が突如止み、湧き出す雲の隙間から下界が姿を現して斜光線が大草原を照らしたとき、それは“神の目線”とも呼ぶべきアングルで世界を見つめることができる。
大陸移動プレートテクトニクスの回転軸に当たるギアナ高地では大地は動くことがなく、その歴史は20億年とも言われる世界最古の大地でもある。
ロライマ山上台地は、下界とは異なる独自の進化を遂げた動植物が生きる。約100もあるテーブルマウンテンそれぞれが孤立しているので、それぞれのテーブルマウンテンで動植物が独自に進化する特殊な生態系が生まれた。山上台地の生態系は、太古の昔を今に残す博物館のような場所だ。
たとえば、跳べないカエル・オリオフラネラは、世界最古のカエルともいわれる。この太古のカエルは、ロライマ山と隣のクケナン山だけに生息する貴重なカエルだ。俊敏に動く一般的なカエルとは対照的に、このカエルは地面をゆっくりと這って歩く。
不思議な形状の植物や奇岩地帯、そして水晶が散らばる不思議な谷を歩く。その現実離れした景観に驚き続けるのが、ロライマ山のテント泊トレッキングだ。
ジュール・ヴェルヌの「失われた世界」のモデルともなったロライマは、世界最美のテーブルマウンテンと言っても良いだろう
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