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風景写真家・松井章のブログ

ベネズエラ・ギアナ高地ロライマの奥地:三国国境と水晶の谷

‟地球で最も古い大地”へ

地球のプレートテクトニクス運動の回転軸、と言われるギアナ高地は、太古の昔から地殻変動の影響なく、その歴史は20億年とも言われています。

大地が動かないギアナ高地では“隆起”という活動よりも、“風化”により長い年月をかけて変化して行きます。柔らかい岩盤が風雨に削られながら20億年もかけて、テーブルマウンテンを形成して、今の景観が出来上がりました。

ジャングルや草原に屹立するテーブルマウンテンの数は100以上あります。そのテーブルマウンテンはそれぞれ太古の昔から孤立していたので、テーブルマウンテンそれぞれに固有種の生物がいます。陸上のガラパゴスのような存在です。

‟失われた世界”のテーブルマウンテン:ロライマ

その中でも美しい形のテーブルマウンテンが、「ロライマ」とその横の「クケナン」です。かつてこの2つの山は一つでした。衛星写真の地図を見ると、この2つの山が割れて分割されたことは一目瞭然だからです。

ロライマはその美しい外観で有名です。まるで巨大な軍艦のような美しい形なのです。テーブルマウンテンの四方を下界から孤立する断崖絶壁の高さは約800mです。このロライマへのアクセスは主にトレッキングです。ロライマのトレッキングは、テント泊・往復徒歩6・7日間のトレッキングが人気です。

あるいは登りか下山のどちらかで、ヘリを使用するテント泊5日間や、往復ともにヘリコプター利用で約2時間ほどだけ着陸を行うヘリ・トレックもお勧めです。
※ギアナ高地にはヘリコプターは数機あるのみですので、チャーター費用は高く、原則的には2名様以上から手配可能となります。最も安価な手は方法は、着陸無しでのヘリコプター遊覧(所要約40分)となります。

ロライマのトレッキング・ルート

トレッキングで下界の草原と往復できるのは、断崖絶壁に一部崩落している箇所があるからです。
その崩壊箇所を辿るルートがトレイルとして利用され、技術不要で登り下りできるようになりました。

山上の世界は、ジュールベルヌ「失われた世界」そのものの景観です。不思議な形をした岩石が独特の景観を作り出しています。世界でも最も天候の悪い場所と言われ、山上では常に雲が流れ、ほぼ赤道直下とは思えない寒さを感じることでしょう。

体力に自信がある場合には、山上にある「三国国境地点」まで行きたいところです。ここは、ブラジル・ベネズエラ・ガイアナの3国の国境です。ロライマでは北東部に位置し、通常テントを張る南西部からは距離があるので、もちろん悪路でもあり、健脚だけが行くことができます。

水晶の結晶が散らばる山上台地

この国境の近くには、「水晶の谷」もあります。ロライマ山上には、いたるところに水晶の原石が落ちていますが、その原石が集中している谷の一つです。人の2倍3倍の水晶の塊もありましたが、国からの保護を受ける以前にヘリコプターで持ち去られてしまいました。

そして、この三国国境の先にあるのが、ロライマの北端です。軍艦の突端のような形をした先端部へは、通常とは異なるキャンプ設営をする必要もあるので、なかなか入域できない場所です。トレッキングというよりは、シビアな体力を必要とするエクスペディションという部類になります。
この軍艦の突端部(北端)からカリブ海側のジャングルを眼下に望む、憧れのルートです。

ロライマの南・西に乾燥した草原(サバンナ)が広がるのに対して、ロライマの北・東はカリブ海の湿った空気がぶつかる世界で最も天候の地域でもあります。

関連ページ:ベネズエラ旅行

●エリア紹介(ベネズエラ): https://www.andina-travel.com/venezuela1.html

会報誌「ポコ・ア・ポコ 1月号」目次 -1/12発行

パタゴニアの秋:南極ブナの森で(フィッツロイ山麓 エルチャルテン村)

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