目次
ブランカ山群の山麓の小さな村で
ペルーのアンデス山脈で最も高い山々が連なるブランカ山群。
山麓には、どこまでも田園風景が広がります。
アンデスの山々の氷河がもたらす恵みは、今も人々の暮らしを支えています。
一見すると貧しく見えますが、ジャガイモやキヌア、トウモロコシの畑は、何千年も続くような暮らしは、豊かであるとも考えられます。
名峰ワンドイ(6395m)の山麓にて、そんな素朴な農村の一つを訪れたたことがあります。
今もまだ電気やガスに不足する、制限された暮らしの中では、子供たちはテレビゲームをすることも、勉強することもできないようです。
そんな子供たちは実に活き活きとしているもので、ハッとする思いを感じるものです。
この日、太陽が徐々に傾き始める時間、乾季のアンデス山脈には青空が広がり、爽やかな風が吹いていました。
日中の強い日差しとは打って変わり、柔らかい日差しの下で、村のあちこちでも人の声が聞こえてきます。夕食の準備を始めているのか、生活の音も聞こえます。
すると、少年と少女が草原に出てきて、凧揚げを始めました。
歓声を上げて草原を走り廻り、凧は大空に舞っています。
草原の向こうには、ワンドイ峰の真っ白な峰がまるで白い壁のようにそびえています。
人智を超えた自然を象徴するアンデスの峰と、子供たちが駆ける姿には、どこか不思議な関係性、あるいは調和を感じたものです。