Loading

風景写真家・松井章のブログ

ペルー・ブランカ山群:黄昏時の農村風景と生活の「音」

ブランカ山群の恵み:豊かな水

南米でも特に氷雪峰が集まるペルー・ブランカ山群(ワスカラン国立公園)は、その名の通り「白い(=ブランカ)」山脈です。氷河が溶けた水は斜面を流れ落ちて、多くの畑を潤します。標高4000m前後にあって、これほどに人が農村に暮らしているのは、ブランカ山群から流れ落ちる豊かな「水」のおかげなのです。

近年、温暖化に伴い、ブランカ山群の氷河は急速に縮小しています。氷河の縮小は水資源の減少に直結していますので、農村で生きる人々にとって大きな問題になろうとしています。

農村で聴こえる生活の音


ある晴れた夕方、ブランカ山群の夕日を見るために、山麓の町・ワラスから、高台の村へ向かいました。ブランカ山群から谷を挟んで反対側の斜面から、ブランカ山群を遠目に一望するためです。ブランカ山群側の斜面と比べて、山上に氷河が無く水が少ないためか、農村そのものが少ないように見えます。

農村をいくつか通り抜けて高度を上げ、山を展望する丘で夕日を待つことにしました。
三脚を立てて撮影の準備を整えて一息つくと、辺りからは生活の音が聞こえてきました。ほぼ赤道直下なので夕日は18時頃です。
人々は帰宅して夕食を準備しているのか、お皿が擦れる音やテレビの音、犬の鳴き声、そして子供の声があちこちから聞こえてきます。家を見れば、ガスが無い家なのか、細く薄い煙がたなびいています。

夕日を見るために登った丘で、アンデスの人々の黄昏時の生活の音を聞くことができたのは、とても貴重な経験でした。
そうして、夕日が山々を赤く染め始めると、集中力はカメラに向いて、生活の音は自分の耳から人知れず消えてしまいます。

図らずも聞こえてきた何気ない音はいつまでも心に残り、アンデスの農村といえばあの時の音が蘇ります。
夕日を撮影するために誰もいない場所へ行くのが基本ですが、敢えて人々の生活圏に身を置いてみるのも、思わぬ発見や思い出になるものです。

「ペルー」専用ページ

「ペルー」ブログ関連記事集

【動画】ペルーの絶景集:悠久のアンデス山脈と古代文明、世界遺産マチュピチュ

==★チャンネル登録はこちらをクリック★==

フォトギャラリー:ペルー

ガラパゴス諸島/「南米大陸の幻想風景」写真展:撮影エリア紹介⑧

タンゴ:ブエノスアイレスで生まれた“哀愁と情熱”のリズム

関連記事

  1. 先住民のミスミナイ村が目指すツーリズムとの共存

    2015.07.29
  2. ボリビア・チチカカ湖畔の聖地「コパカバーナ」

    2022.07.15
  3. BA Styleコラム2月号:アルゼンチンの郷土料理「エンパナーダ」

    2022.02.07
  4. インカトレイル・トレッキング③:ペルー・アンデス山脈と古代遺跡の絶景を歩く

    2017.12.19
  5. 標高4000m “天空の都市”ラパスの成り立ち

    2022.10.08
  6. 写真集「パタゴニア-暴風と氷河が織り成す奇跡の絶景」

    2019.06.07
パタゴニア
2025年2月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
2425262728  

最近の記事

アーカイブ

PAGE TOP