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風景写真家・松井章のブログ

ペルー・アンデス山脈/「南米大陸の幻想風景」写真展:撮影エリア紹介③

華麗な先住民の文化が息づく、ペルー・アンデス山脈

ペルーのアンデス山脈では、インカ文明、そしてさらに古いインカ以前のプレ・インカ時代から、人々は厳しい山岳環境に順応して独自の文化・文明を築きました。アンデス山脈の壮麗な風景には、人々の生活風景も不可分な要素なのです。
アンデス先住民にとって、特に氷雪を抱く山々は神聖な存在で、山の神「アプー」が宿ると考えます。山の氷河が安定して供給する水は、人々の畑作を支える“天の恵み”であるからです。

インカ帝国は南米に君臨するほどに隆盛を極めますが、広大な版図はやはりアンデス山脈に沿うように広がりました。
南米大陸の広大で多様な自然、そして人の暮らしまでも、アンデス山脈が大きな源であると言えるでしょう。

①マチュピチュ


15世紀に栄えたインカ帝国の粋を集めたマチュピチュ遺跡は、スペイン人の侵略から守られるように、20世紀初頭まで密林に埋もれていました。太陽神を崇めるインカ人が太陽を観測するために築いたのがマチュピチュ遺跡であると考えられています。

②クスコ


インカ帝国の都として栄えたクスコは、16世紀以降のスペインの侵略により、インカの建築物の上にスペイン・コロニアル調の町が築かれました。

白い壁に橙色の屋根が連なる美しい街並み、街路の古い石畳の道を見れば、まるでスペインのようですが、町のあちこちにインカの建築物が顔を覗かせています。インカ建築は大地震が起きてもびくともしないほどに堅牢で、スペイン人も破壊できなかった建築物をあちこちに見ることができます。

③ウルバンバ谷


インカの都・クスコ近郊のウルバンバ谷は、標高2500m前後に位置するために、気候は割と温暖で過ごしやすく、皇帝の避寒地、穀倉地帯、農業試験場、アマゾンを往来する交通の要を兼ねた、インカ帝国にとって重要な場所でした。

谷を囲む山肌にはインカ時代の大規模な遺跡が今も無数に残り、先住民ケチュア族の人々はカラフルな民族衣装をまとい伝統的な生活を守っています。

④コルカキャニオン


世界で最も深い峡谷の一つと言われるコルカキャニオンは、世界最大級の鳥・コンドルが間近で舞う姿を観察できる場所です。コンドルはその巨体から自ら飛び立つことはできず、強い上昇気流が吹く谷に住んでいます。朝、日の光が谷に射しむと、上昇気流とともにコンドルの群れが現れ優雅に天を舞います。

インカ以前の2000年以上も前から、人々はこの地で畑作を営み、谷の斜面にはパッチワーク状に張り巡らされた段々畑が谷を覆っています。

⑤ワスカラン国立公園(ブランカ山群)


ブランカ山群は、6000m峰が17座もあるアンデス山脈の一つです。長さ約200kmの山群は、ほぼ赤道直下にありながらも氷雪に覆われて真っ白に見えることから、「白い」を意味する「ブランカ」と名付けられました。ペルー最高峰ワスカラン(6757m)を主峰に、ペルー随一の山岳展望を有します。半自給自足の生活を続ける山麓の人々は、水をもたらす山々を崇めて、素朴な生活を続けています。

かつて百年ほど前には文字通りに真っ白に山脈は覆われていましたが、温暖化とともに急速に氷河が後退して、氷河の水に頼る先住民の人々の暮らしにも重大な影響を及ぼし始めています。

⑥ワイワッシュ山群


ブランカ山群に隣接するワイワッシュ山群は、ペルー第二の高峰イゥエルパハ(6617m)を主峰に7座の6000m峰が約30kmの山脈に集まります。

ブランカ山群に比べて、人がほとんど住まないワイワッシュ山群はまさに秘境と言えるでしょう。

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