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古代から伝統文化を守るタキーレ島の暮らし
大洋のように水平線を望むチチカカ湖には、41個の島があります。島の多くには古代から人が住んでいて、今も伝統を守った生活を続けています。
ペルー側のチチカカ湖で有名な島は、織物文化が世界無形文化遺産に指定されているタキーレ島です。プーノから約40キロ離れていて、船で2.5時間ほどかかります。
タキーレ島は、湖面から突き出るような丸い山の形をして、島の斜面はくまなく段々畑に覆われています。これらの段々畑はインカ以前のプレ・インカ時代から継承されているもので、遺跡のような現役の畑なのです。
島に上陸すると、港から山頂部の中央広場へ向かいます。今も車が無いので、約標高差約200mは坂道と階段を歩いて登っていくことになります。標高4000mでの登りはなかなか体に応えますが、チチカカ湖を見下ろす展望の美しさに息を飲むことでしょう。
タキーレ島の織物文化(世界無形文化遺産)
タキーレ島の織物はペルーでは最高品質と言われています。生産は男性と女性で分業されていて、女性は羊毛を紡ぎ織物を織ります。そして、編み物は男性の仕事です。タキーレ島では繊細な仕事を男性も共同で行うのです。
織物・編み物に織り込まれるシンボルには古くから伝わるもので、全てに意味があり、祈りも込められています。シンボルは島の人々の世界を象徴するもので口承により代々伝わってきたものです。
民族衣装に見るインカとスペインの融合
島の人々は、伝統的な民族衣装をまとい生活しています。
上下の衣服は、18世紀に島民に強制されたスペインの農民服が原形です。帽子や飾り帯(ベルト)にはインカの伝統が残ります。女性はセーターにスカート、そして頭は黒いベールで覆っています。
今も息づくインカの道徳観念
人口2200人のタキーレ島は、古い伝統を守る一つのコミュニティです。社会は昔ながらの集産主義で成り立ち、島全体で社会を運営して、利益も分配するようにしているのです。
そして、その精神的な規範もインカ時代から続く道徳観念です。先住民ケチュア族の言葉で、「Ama Sua(アマ・スア=盗むな)、Ama Llulla(アマ・ユヤ=嘘をつくな)、Ama Quella(アマ・ケヤ=怠けるな)」という3つの訓戒が道徳の基本となります。
タキーレ島の人々に漂う実直な雰囲気は、このような道徳によるのかもしれません。
それは多くの人が集まる湖岸の町・プーノとは全く異なるもので、海のように広いチチカカ湖に孤立するように浮く島で、人々は古い伝統を守地続けているからなのでしょう
チチカカ湖の解説シリーズ
ペルー側
ボリビア側
ペルー旅行の魅力を解説③:“天空の湖”チチカカ湖
「チチカカ湖(ペルー側)」専用ページ
【動画】ペルーの絶景集:悠久のアンデス山脈と古代文明、世界遺産マチュピチュ
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