
パタゴニアの紅葉と南極ブナの木

南米大陸の南端パタゴニアでは、4月になると森は紅葉に包まれます。
燃えるように赤く色づくのは、パタゴニアの森林の大半を占める南極ブナ(ナンキョクブナ)です。
北半球のブナとは異なりますが、近縁の木で、ニュージーランドやタスマニアにも生息しており、また南極で化石が発見されています。かつて南極と南米やオーストラリアが地続きの時代を暗示する植物、この南極ブナの木です。

パタゴニアの厳しい環境で南極ブナがこれだけ繁栄している理由は、その適応力の一つではと思います。
風が強い斜面に育つ時には、南極ブナはハイマツのように地を這うように背を低くして生息します。

一方、ひとたび谷間で森を形成すると、樹高は20m以上にも育ちます。
この2つの木が同じ南極ブナであるとは気づかないでしょう。
環境に合わせて、したたかに形を変えて生き残る強さが、南極ブナがは繁栄した理由の一つなのです。

南極ブナの木の寿命は、だいたい100年くらいです。最後は、ほとんど暴風に倒され終わります。
暴風に翻弄されるのが、パタゴニアでの運命です。長い年月、暴風に耐えて来た南極ブナの木も、100才くらいになると、風に負けて倒されてしまうのです。

上空で轟音が鳴り響くような日、森の中で耳を澄ませば、どこかで木が悲鳴を上げるような擦れる音が聞こえてくるでしょう。暴風に幹を折られることも頻繁ですが、そのままの姿で育つ逞しさがあり、森を歩けば実にいろいろな形に育った木を見ることができます。

秋の紅葉は、とても時間をかけて、少しずつ赤へと色を変えていきます。4月は天候があまり良くないので、降雪を繰り返すたびに、紅葉は段々と赤みを増します。一ヵ月くらいかけて、ようやく紅葉のピークに到達しますが、そのピークはわずか2、3日くらいです。
豪華絢爛に赤い紅葉は、とても儚く散ってしまいます。
紅葉のピークを過ぎると、いよいよパタゴニアは厳しい冬を迎えます。
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写真展「パタゴニア -風の道を辿る-」
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