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地平線まで広がる草原「パンパ」
パタゴニアが最もパタゴニアらしい風景は、草原にあると思います。
迫力ある山岳風景や氷河はもちろんパタゴニアのハイライトですが、この何も無い草原の方に最終的には人は惹かれてしまうからです。
何度もこの地を訪れる人は、滞在先に草原の宿(エスタンシア)を選ぶものです。
パタゴニアを訪れる人なら誰もが感じることが、空の大きさと黄色い草原。
そして、空に浮かぶ不思議な雲。
ここでは、雲は山や氷河に負けないほどの存在感です。
上空の暴風が創り出すレンズ雲(高積雲)は、空というキャンバスに思い切り自由に絵を描いていると考えて良いでしょう。
見えないのに存在感があるといえば、「風」です。
木を捻じ曲げるほどの威力のあるパタゴニアの風は、日本でいえば台風クラスです。
この規模の風が常に吹き続けているのです。
もし風が無ければ、むしろ不安になってしまうほどに、パタゴニアに風は不可欠です。
かつて、大航海時代には、ヨーロッパの人々は、パタゴニアには「逆さま人」や「巨人」が住む異界であると怖れていました。
地の果てにある風景は、今でも十分に「異界」といえるでしょう。