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桁違いのスケールの牧場「エスタンシア」
パタゴニアの大草原では、空があまりにも大きくて、視界の大部分が空で占められます。
この大草原はほぼすべてが私有地だと聞くと、驚くのではないでしょうか。
牧場という単語を聞くと、のどかな牧草風景や牧舎をイメージするものですが、パタゴニアの牧場には過酷な環境の下で、桁違いのスケールの自然が広がります。
牧場の中には山脈や氷河も含まれていて、カウボーイ「ガウチョ」は遊牧民のように野営をしながら、牧場内で放牧をしています。
南米大陸のあちこちにある大牧場のことを「エスタンシア」と呼びます。
南極に近い寒冷な気候から、パタゴニアのエスタンシアでは、羊が放牧されています。
約150年ほど前に、パタゴニアに自生するイネ科のコイロン草が、羊の好物であることが発見されたからです。
もともとは荒野として打ち捨てられていて、アルゼンチン政府もチリ政府も見向きもしなかった土地が、世界的な羊毛の需要により、たちまちの内に牧場として分割されました。その面積は日本の3倍以上に及びます。
この時代のパタゴニアの好景気を「ウール・ラッシュ」と呼びます。
今では、化学繊維の台頭により羊の飼育数は減少していますが、人口よりもはるかに多くの羊が放牧されています。
パタゴニアでは山や氷河が主役ですが、大草原に滞在することも重要な醍醐味です。