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ペリト・モレノ氷河とは
高さ60m、幅4kmもあるペリト・モレノ氷河は、温暖化の時代にありながら、その影響が少ない珍しい氷河です。
年によっては、今も氷河は前進することがあるほどに活発な氷河です。
そのペリト・モレノ氷河にも、温暖化の影響がついに及び始めています。
私がペリト・モレノ氷河を訪れたのは昨年の11月です。約5年ぶりに訪れましたが、その大きさに変化があるのは明らかでした。
特に、クルーズ船で氷河に接近する南側の氷壁は高さがおそらく10mほどは低くなっていました。
ペリト・モレノ氷河の著しい後退
世界中の氷河と同様にペリトモレノ氷河においても、不可逆的な後退・縮小が始まったとする調査結果が、先日発表されました。
アルゼンチンのパタゴニアにある「氷河学センターGlaciarium」の調査によると、ペリト・モレノ氷河上では、すでに大気の温暖化を示すデータが見つかっているそうです。
このデータは、1995年にペリト・モレノ氷河の上に設置されたGPMステーションと呼ばれる気象観測所から、28年間の調査で蓄積されたものです。
観測によると、氷河上での年平均気温は、年により上下はあるものの、28年間で0.8度は上がっています。
さらに夏の平均気温は、確実に毎年上昇し続けているそうです。
すでに28年前から、この氷河も温暖化が始まっていたのですが、目で見える変化に乏しかったのは、それだけ源流からの氷河の供給も多かったということでしょう。
いま源流からの氷の供給よりも、融解する量の方が多いことから、大きくペリトモレノ氷河は縮小し始めています。
観測所のデータと、実際に目で見える氷河の様子からも、氷河の後退が加速度的に進むことが懸念されています。
この100年ほどは、変わらずに陸上に設置された展望台に、氷河が接すほどの近さで見ることができました。年によっては氷河が陸上に乗り上げて、湖の水の流れを堰き止めるほどでした。
その氷河も、いまは陸地から徐々に離れようとしています。
また、ペリト・モレノ氷河の後退が、周辺の大気のさらなる上昇にも影響し、他の氷河をさらに後退・縮小させる局面も予想されています。
この世界でも稀なダイナミックな風景にも、いよいよ温暖化の影響が出ています