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未踏の氷原に埋もれた火山
最近パタゴニアで話題になっていることと言えば、新しい火山の発見の話題でしょう。
今なお未踏の大地が広がるパタゴニアらしい話です。
10月下旬に発見されたばかりの新火山です
衛星で偶然発見された火山は、フィッツロイ峰のすぐそばのマリアーノ・モレノ山群でした。火山灰が風に流されて帯状の痕を残していることを衛星写真が発見したのです。氷河に覆われたマリアーノ・モレノ山群は、その他のパタゴニアの山群と同じく、大地の隆起と風化が作り出した山脈と考えられていて、誰も火山が近くにあるとは思っていなかったので、大変な驚きなのです。
パタゴニアの基点となるカラファテやペリトモレノ氷河からも近く、フィッツロイ山麓のチャルテン村からはすぐそこです。
といっても、直線距離は近くても、チャルテン村と新火山の間には、フィッツロイの針峰群が連なり、その向こうには広大な雪原があるので、限られた人しか踏み込めない秘境です。
パタゴニア南部氷原とは
パタゴニア南部氷原は、世界で3番目に大きな氷(氷河)の塊です。南極やグリーンランドに次ぐ大きさと言われる、とてつもない規模の氷原です。幅30キロ・長さ300キロほどの細長い谷が、1500mほどの厚さの氷で埋め尽くされています。この巨大なパタゴニア南部氷原から溢れ出した氷が、無数の氷河として流れ出しています。その数は百以上に及び、有名なペリトモレノ氷河を始め、ウプサラ氷河やビエドマ氷河であったりします。
フィッツロイ山群も、パイネ山群も、やはりこのパタゴニア南部氷原の氷を堰き止めるようにして林立しています。
マリアーノ・モレノ山群
掲載している写真は2013年1月に撮影した写真です。この時の1週間のテント泊山行は奇跡的な快晴に恵まれて、南部氷原の対岸にあたるマリアーノ・モレノ山群も良く見えました。
広大なパタゴニア南部氷原に火山が発見されたのは、2つ目です。一つはもっと北にあるラウタロ火山です。地震の全くない南部パタゴニアでは、地震と関連する火山の存在もほとんど意識されていなかったので、この火山の発見はパタゴニアの人々にとっては大きな衝撃でしょう
探検家エリック・シプトンの探査の真偽
1958年から62年にかけて、エリック・シプトンが数回にわたり、この山域を探検しています。その中の一回では、このマリアーノ・モレノ山群の付近を踏査しました。その目的は、「ビエドマ火山」の存在の真偽を突き止めるというもので、マリアーノモレノ山群の山麓にあるビエドマ氷河の源流部に「火山」があるという、噂の真偽を突き止めようとしました。
シプトンの結論としては、ここには地熱による氷河の融解もなく、「火山」は無いと結論付けていたので、シプトンの探検の結論も早急だったのかもしれません。
今後、アルゼンチン・チリ両国は探検隊を作り、実際に人を派遣して調査する計画を、さっそく国家ぐるみで始めています
いずれにせよ、21世紀になっても、人智の及ばない地域があるということは、人々のイマジネーションを掻き立てる一種のロマンです。とてもパタゴニアらしい話でワクワクしてきます。
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動画:パタゴニア南部氷原
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