南米パタゴニアの秋は、日本に引けを取らない鮮やかな紅葉に彩られる美しい季節です。
ブナの木の紅葉というと、北半球のブナは黄色や橙色にこそ染まりますが、パタゴニアでは赤く色づくのです。
一か月かけて少しずつ色彩を黄色から赤へと変化させる南極ブナの紅葉を辿ってみます。
目次
パタゴニアの森を埋め尽くす南極ブナ「レンガ」
南極地方とも呼ばれる寒冷なパタゴニア地方では、動植物の種類はとても少ないのが特徴です。
パタゴニアの森では、ほぼすべての木が「南極ブナ」の木です。南極ブナには土壌に合わせて3種類ありますが、その中で最も繁栄しているのが「レンガ」です。繁栄の秘訣は、「レンガ」は環境に順応して姿を変えることです。風が強い場所ではハイマツ状に育ち、風が吹かない谷では樹高20mほどの森を形成します。
秋の始まりを告げる南極ブナ
フィッツロイ山麓のエルチャルテン村周辺では、秋の到来は南極ブナが伝えてくれます。森の木々は徐々に黄色へと変化していきます。フィッツロイ直下の尾根を見上げれば、ハイマツ状の南極ブナの木々が黄色から橙色へと変化しています。
この色彩の線が、秋の到来を示すラインで、日に日に標高を下げて近づいてきます。秋の到来を目で追うことができるのです
パタゴニアの紅葉はじっくりと一か月ほどかけて進みます。黄色の木々は、徐々に橙色に変化していきます、朝晩の冷え込みも厳しくなるころです。
夏の森に漂っていた活気はなくなり、森には静かに風にこすれる音だけが響きます。欧米人のバケーション・シーズンも終わり、この頃には訪問するトレッカーも減るのです。
この時期、ハヤブサの仲間である「カランチョ」の求愛シーズンです。運が良ければ求愛のポーズを見ることができるでしょう。
紅く燃える盛秋のパタゴニア
じわじわと色を変化させてきた南極ブナがいよいよ紅く染まる時期を迎えます。橙色から赤色へと変化する盛秋はわずか1週間ほどでしょう。
短い日数で一気に赤くなり散ってしまいます。この短い期間に、山も望めるような好天に恵まれたなら、とても運が良いのです。
南極ブナのレンガが森全体の植生のほとんどを占めるので、紅葉も鮮やかに、森全体を赤に染め上げます。
森そのものが赤く染まるこの季節、壮大な針峰フィッツロイの山麓の赤い絨毯を望めたならば、それは一年で最も美しい絶景であると言い切れます。
この時期、雨が雪に変わることが多く、朝目覚めると雪が積もっていたりします。それでも陽が差すと雪はみるみる溶けてしまいます。
一日の中に四季があると言われるパタゴニアですが、日本同様にパタゴニアの四季もまた春夏秋冬の季節ごとの美しさがあるのです
深紅に色づいた紅葉は、暴風が吹くたびに葉は一気に落ち、冬へと向かいます
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