目次
花崗岩の怪峰「パイネ・クエルノ」
「角」を意味するパイネ山群の怪峰・クエルノは、見る角度により、形が全く異なります。
車道やトレッキングのトレイルからの展望で、花崗岩の独特な絶壁が刻々と姿・形を変えていくことに、きっと息を飲むほどに圧倒されるでしょう。
標高差2500m近い絶壁を周りながら、人それぞれ好きな「クエルノ」のアングルというこだわりも生まれてきます。。
魔城のように奇怪な形の岸壁がどのように生まれたのか。クエルノ峰の様々な形の写真を掲載しながら、その山の成り立ちを振り返ってみます。
パイネ・クエルノは、パタゴニアのチリ側、パイネ国立公園を代表する名峰です。
パタゴニアの岩峰群の成り立ち(パタゴニアの地質学)
数百万年前、パタゴニアの大草原は海の底でした。堆積物が蓄積される地層は、ある時代に隆起して地上に上がっていきます。パタゴニアやアンデス山脈のあちこちで、貝の化石が見つかるのは、元々は海の底であったことを示すのです。
この時、堆積岩の地層のさらに下から、マグマが上昇してきます。パタゴニアにはほとんど火山が無いので、噴火するようなマグマではなく、粘り気のあるマグマが、堆積岩の地層の中にしみ込むように入り込み上昇して固まり、花崗岩となりました。今の岩峰群の原型となる部分が地下で生成されたのです。
気の遠くなるような時間の流れを経て、この堆積岩と花崗岩の地層は、隆起と褶曲という大地の圧力を受けながら、徐々に地上に突き上げれて、山脈を形成していきます。
南極還流がもたらす苛烈な暴風・暴雨は、堆積岩の柔らかい地層を削り取っていきます。暴雨は山中に巨大な氷河を形成し、氷河はさらにえぐるように、花崗岩の硬い岩盤をも削っていきます。
こうして、今のパタゴニアの岩峰群が形成されました。
パタゴニアは、人類が登場するはるか前に、とてつもない長さで地球が作り出した芸術品なのです。