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パタゴニアの大氷河:ビエドマ氷河へ
空よりも青い氷河の「青色」は、グレイシャー・ブルーと呼ばれる。
それは宝石のサファイアブルーのように深くて、自ら発光するような青色です。
思わず嘆声を上げてしまうような奇跡の絶景と感動を、どうしたら伝えることができるだろうか。
パタゴニアは数百の氷河が流れる、岩と氷の大地です。その中でも、「ロスグラシアレス国立公園」は巨大な氷河が集まることで有名です。
代表的なペリトモレノ氷河とウプサラ氷河の次に有名なのが、ビエドマ氷河でしょう。
フィッツロイ山麓にあるので、エルチャルテン村からのアクセスが良く、私にとってはとても身近な氷河です。
ペリトモレノ氷河と同じく、末端部が50~60mの絶壁で幅は約5~6kmもある大氷河です。
ただ、ビエドマ氷河は急速に後退するという点で、ペリトモレノ氷河とは大きく異なります。
年に数十メートルも後退するほどの早さなので、氷河に覆われていた地肌が、「ヌナタク」と呼ばれる氷河の島として、いくつも顔を出しています。
氷河への上陸は、氷河展望クルーズの船に乗って、氷河末端部の島「ヌナタク」、またはサイド・モレーンに上陸します。モレーンとは氷河に押しのけられて積みあがった土砂の山です。
つい最近まで氷の下で削られていた岩はツルツルに磨かれています。油断すると滑って転倒するほどに磨き上げられています。
岩山でアイゼンを装着して、いよいよ氷河に入ります。
ビエドマ氷河ハイキング
氷河上に入ると、音が少し静かになったと感じるのではないでしょうか。
氷が音を吸収しているのか、それとも氷の尖塔群が風を遮っているのか、辺りは静寂に満たされて、人の声だけが響きます。
氷の山を一つでも越えると、迷路に迷い込んだように氷の世界に取り込まれてしまいます。
それは、あまりにも現実離れした世界です。
目指す氷河の洞窟「アイスケーブ」は、数週間もすると融けて崩れてしまう“幻の氷穴”です。
アイズケーブは、氷河の底で形成されます。氷河の融水が流れる地下水道であった氷の穴は、氷河の活動とともに徐々に下流に流される過程の中で、いくつかの氷穴は表面に顔を出すのです。
表面に出てからは、日に当たり一気に融けるので、数週間で崩れ去ってしまうわけです。
氷河の穴に入ると、その青は一際深いことに気づくでしょう。氷河の底で、膨大な圧力で圧縮された氷は密度が濃く、それだけ深い青を湛えているからです。晴れていても空が曇っていても、氷はなぜこれほどに青いのか、いつも不思議に思っています。
【動画】ビエドマ氷河:大崩壊の瞬間
下の動画は、2016年の「ビエドマ氷河」大崩壊の貴重な瞬間です。この崩壊だけで一気に数百メートルも氷河が後退したそうです。
3つの氷河ハイキング
パタゴニアで氷穴を見ることができる氷河としては、3つがお勧めです。