チリ・パタゴニアのパイネ国立公園で、クエルノ峰に並びパイネ山群を象徴する名峰が、トーレス・デル・パイネ峰(2850m)です。
日本語に訳すと「パイネの岩搭」を意味するトーレス・デル・パイネ峰は、クエルノ峰やグランデ峰の裏に隠れていることから、その全容を見るためには山群の懐深くに入り込む必要があります。
パイネ山群の核心部とも言えるトーレス・デル・パイネ直下の山上の湖に行くと、初めて岩塔を望むことができます。
つい最近まで氷河に覆われていたことを容易に想像させるモレーンの急坂を登り切ると、氷河湖の畔に屹立する三本の花崗岩の尖塔がようやく眼前に現れます。
エメラルド色の氷河湖に流れ込むように、氷河に見事に磨かれた花崗岩は、標高差2,000mに及ぶ大岩壁です。
岩塔の周囲には雲が張り付いていることが大抵で、青空をバックにしたトーレス・デル・パイネ峰を望めたのなら運が良いことです。