“嵐の大地”と呼ばれるパタゴニアで、雲一つ無い夜空に、満天の星を望めたなら、それはとても幸運なことでしょう。
フィッツロイ峰は、先住民テウエルチェ族に“チャルテン=煙を吐く山”と呼ばれるほどに、雲はまるで噴煙であるかのように、山頂部に張り付くと離れない山であるからです。
秋のある日、月没後2時間ほどかけて、夜の闇はどんどん深くなり、星の数も増して行きました。
南半球の天の川は、星が密集して、まさに“天上の星の川”です。
インカ以前のプレ・インカ時代から、アンデスの先住民諸族は、天の川の黒い染みの部分(中州)の形に、リャマやヘビなどの名前を付けていました。
誰もいないベースキャンプの河原は、フィッツロイ峰と星空を望む、劇場の特等席です。
食堂テントからパイプ椅子を持ち出し、パタゴニアの秋の寒さに凍えながら、じっくりと星空撮影を楽しみました。