「嵐の大地 パタゴニア探検 1958~1962」は、エリック・シプトンが後半生をかけることになるパタゴニア探検の前半のものです。
ネパールやインドのヒマラヤ山脈、パキスタンのカラコルム山脈で勇名を馳せたエリック・シプトンが、探検の新たな舞台にパタゴニアを選んだ時、既に彼は50歳でした。
開拓時代の探検家・アゴスティーニ神父やペリトモレノが活躍した時から40~50年近くが経っていた頃ですが、この秘境にはまだまだ文明の光は届かず厳しい探検を行うことになります。
シプトンが特に力をかけて何度も探検を行った地域が、「パタゴニア氷原(北部・南部)」です。
前半期には南部氷原の探検を繰り返し行います。
氷床に取りつくまでも大変な労力をかけて移動する地味な日々も、その全ての記録が克明に記されています。
そして、氷原でのリアルに過酷な日々の描写。
南部氷原のビエドマ氷河上流部にあると言われた「ビエドマ火山」の存在の真偽を確かめる記録と顛末は、私の好きな章となっています。
「嵐の大地 パタゴニア探検1958~1962」(著:エリック・シプトン/山と渓谷社)