荒涼とした谷の中から、草原帯に抜けると空気が変わる。
風が吹いていることが一番大きな違いだろう。
まだ氷河が去ったばかりで生き物の気配の無い谷は、風も吹きこまないことから、自分の足音や服のこすれる音が聞こえるほどに、シンとして音の無い世界なのだ。
空を見上げれば、雲がゴンゴンと流れて行くのがとても気持ち良い。
草原は遠くから見れば平らだが、近くに寄れば、湖沼あり傾斜ありで変化に富み、飽きずに楽しく歩ける。
爽快な景色のなか快調に歩を進めるが、やっと遠くに見えてきたクリスティーナ牧場は、なかなか近づかない。
こんな時に、パタゴニアのスケール感は日本とは違うことを実感するのだ。