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マチュピチュ遺跡のリャマは外来種?
ペルーの世界遺産マチュピチュ遺跡で、ラクダ科のリャマはマスコット的な存在として有名です。
リャマとは、ラクダ科の一種で近縁にはアルパカやビクーニャがいます。モフモフの毛に顔が覆われているのはアルパカで、リャマはほっそりと背が高いラクダです。
マチュピチュ遺跡の幻想的な風景に、アンデス山脈を象徴するリャマはとてもマッチするのですが、彼らはアンデス高原から連れて来られてきました。本来はマチュピチュには生息しない動物であるのです。
リャマやアルパカは、標高3000m以上の乾燥した高原に生息しています。現在、野生のリャマやアルパカはいなく、約2000年以上の時をかけて人との生活に順応して放牧されながら人とともに生きています。彼らが好む乾燥した高原は森林限界を越えていて、荒野と呼ぶほうが適するような大草原です。
マチュピチュ遺跡の標高は2400mで、下流のアマゾン低地からの湿った空気の影響で温暖湿潤な地域です。密林に覆われているマチュピチュは、本来リャマやアルパカが生息する地域とは全く異なる環境なのです。
マチュピチュ遺跡で放牧されるリャマの仕事は、ツーリストと写真を撮ることに加えて、無数にある段々畑の草を食み除草することにあるようです。
マチュピチュ遺跡で草刈りをする機械の音は聞いたことがないので、マチュピチュ遺跡でリャマたちは除草という大変重要な任務を担っているようです。
リャマは人を恐れませんが、唐突に近づくと当然ながら少し遠のきます。それでも無理に近づけば警戒音とともに唾を吐いて威嚇することもあります。近づくときには静かに間合いをじわじわと詰めていくと、一緒に写真を撮ることもできるでしょう。
遺跡から遠くを望むリャマの後ろ姿を見ながら、いまこのリャマは何を思うのだろう、郷愁だろうかと、その後ろ姿に哀愁を感じたのでした。