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レンソイス砂漠の成り立ち
森と海の生態系は川を介して密接に繋がっている。
森が破壊されると、沿岸の海域の海水の養分も減ってしまうからだ。海の養分が減れば魚は減り、川を遡上する魚が減れば森は養分を失う。
レンソイス砂漠の成り立ちもまた、川を介して上流からもたらされる土砂が重要な役割を果たしている。
水晶を含む土砂が、レンソイス砂漠の端を流れるプレギサス川から海に流出される。
その土砂は東から流れる海流に洗われながら海を漂い、比重の重い水晶だけが残り、ブラジル北東岸のレンソイスに打ち上げられる。
大西洋から吹く貿易風は水晶の砂を内陸へと吹き届ける。
この無限ともいえる連鎖の果てに、水晶で成り立つレンソイス砂漠が生まれたのだ。
連鎖の一つにでも変化が生じれば、レンソイス砂漠は微細に変化していき、数万年後には大きく姿を変えているのかもしれない。
人の時間軸では捉えきれない地球の営みを見ることは、相対的に人の営みの小ささに気づかせてくれる。
それは決して悪いことではなくて、世界を見る感覚を研ぎ澄ませる良い機会だと思うのだ。
▲レンソイス砂漠の砂をもたらすプレギサス川と、レンソイスの基点バヘリーニャス村。ここから下流の汽水域は、世界で一番背の高いマングローブが繁る森だ。
▲森の住人。オマキザル
▲マングローブの森は、エビやカニを育てる。レンソイス周辺の名物料理は、エビのオーブン料理だ。