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風がもたらす奇跡の絶景
水晶の砂漠に2万個の湖が出現する「レンソイス砂漠」は、世界でただ一つの風景だ。異世界のような風景なので、“異景”と呼ぶべきかもしれない。
まるで別の惑星に来たようなのだ
レンソイス砂漠は、南米大陸のブラジル沿岸で、ほぼ赤道直下に位置する。東京都と同じくらいの面積の砂漠が水晶の砂に覆われていることは、「海流」と「風」が大きく影響している。
ブラジルの北東岸は、大西洋の“南赤道海流”がアフリカ方面から流れてきている。海流とともに、風も東から吹く。この風と海流が水晶の砂粒を作り上げ、砂漠全体をうねるように動かしているのだ。
ブラジル内陸から川に流されてくる土砂は多くの水晶(石英)を含んでいる。海に流された土砂は、海流と風により攪拌されながら沿岸部に戻される。海流と風と大地の間を土砂は行ったり来たりしながら、土砂の中から比重の重い水晶だけが残り削られていく。こうしてレンソイス砂漠は「白砂の砂漠」となった。
レンソイス砂漠を歩けば、風は常に海から吹くのが分かるだろう。そして、砂漠は生きているのだと感じるものだ。
風は水晶の地面に「風紋」を刻み込む。太陽が傾くと、アートのように不思議な縞模様が浮かび上がる。
そして、地平線までなだらかに連なる砂丘もまた風の刻印だ。
鳥の目で砂漠を見下ろせば、砂丘の連なりもまた「風紋」と同じように、風向きに合わせていることに気づくだろう。
極大の「砂丘」と極小の「風紋」は、風という絶対的な存在の下で相似しているのだ。