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レンソイス砂漠のアートな世界観
個人や社会の世界観に影響を与えるのが「アート」であるならば、ブラジル・レンソイス砂漠に広がる森羅万象の風景は、全てがアートそのものかもしれない。
断捨離という言葉さえも陳腐に聞こえるほどに、世界はあまりにも単純で深いことを、途方も無い自然のリズムの中では人の存在など無に等しいことを、気持ちよく実感させてくれる。人間が引き起こす些細なあれこれがアートであるならば、地球のリズムそのものも対極的なアートだ。それは究極的なまでに無駄を削ぎ落とした天地開闢の風景なのだ。
紀行文学(トラベローグ)を確立したイギリスの作家ブルース・チャトウィンは、名作「パタゴニア」の中で、天地開闢の風景というアートを描き、そこに芥子粒のように小さな人間たちの“カルマ”というアートをも描いた。多くの欧米人は、この半世紀前の偉大な作家の本をバイブルとして抱えながら、南米大陸を旅している。
レンソイスという砂漠に映る風景でも、生物という対極のアートを目にしたときに、万華鏡のように世界がより眩く輝いて見えるだろう。ロバを操る飄々とした砂漠の民の目の奥には、アフリカから奴隷船で送り込まれた黒人の物語さえも詰まっている。漂泊の末にこの砂漠に辿り着き、どうしてこんなところで生きているものなのか。白砂の砂漠の中で地平線さえも判然としない白い世界の彼方に、生物が現れたときに感じる“命”という同胞への感嘆は、想像力という翼を揺さぶるように刺激してくれるだろう
レンソイス砂漠で、世界観に変容が起こる様な作用を脳内に感じるならば、それはしめたものだ。砂漠のアートに絡め捕られて、いっそのこと身を委ねてみよう。
旅の詩人・李白が残した「山中問答」が染み込むような実体験をするためには、世界でも特に孤立した“秘境”に行くのが良いと思う理由だ。
= 山中問答(李白)=
余に問ふ 何の意ぞ碧山に棲むと
笑って答えず 心自から閑なり
桃花、流水、杳然として去る
別に天地の人間に非ざる有り
レンソイス縦断トレッキング
今年は、レンソイス・トレッキングの問い合わせが多いです。水晶の砂漠に2万個も湖が現れる7~8月は、国際線が激しく混んでいますので、早め早めの手配が重要です。