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風景写真家・松井章のブログ

奇跡の絶景:水晶の白砂漠レンソイスを歩く

南米大陸の「地球のリズム」

ブラジル・レンソイス砂漠の風景を見ていると、いつも人の時間のスケールでは測れない無限ともいえる大きさに圧倒される。
人智を超えた「地球のリズム」に身をゆだねるような貴重な経験は、いったい人生で何度あるだろうか。

“地球は生きている”ことを感じたときに沸き起こる、震えるような感動は、ときに人の一生を変えると思っている。それは大げさな表現ではなく、南米大陸の「地の果て」はそれだけの力を宿しているのだ。

人の存在はあまりにも小さすぎて、地球にあまなく存在する森羅万象は大きく激しくうねりながら生きている。無慈悲なほどに厳しい表情もあれば、福音ともいえるほどの豊穣に目を奪われることもある。

南米大陸の自然に入るということは、パラレルに存在する別世界に行くようなものなのだ。

ブラジル・レンソイス砂漠:2万個の湖の豊穣

ブラジルの北東部に広がるレンソイス砂漠は、その面積は約15万ヘクタールに及び、日本でいえば東京23区の2倍ほどの面積だ。
この広大な砂漠に、約2万個もの湖が、1年の内にわずか3カ月だけ出現する。レンソイス砂漠は、その地下に膨大な水を蓄えている点が、その他の世界中の砂漠と違う大きな点だ。雨季の間に着々と水を蓄えた砂漠は、雨季明けの約3カ月の間に、地下から水が溢れ出し、無数の湖と幻の川を出現させる。
水と砂漠が共存する風景は、まるで別の星にいるかのような絶景だ。

水晶の白砂が作る幻想的な色彩変化

レンソイス砂漠を形成する砂粒は、細かい水晶だ。陽が天中にある時には砂漠は真っ白に輝き、朝日や夕日の時間になると、砂漠は金色や橙色へと刻々と色を変えて行く。
無数に現れる湖もまた、水晶の輝きに反応しながら、緑・エメラルド・青・橙色など、一つ一つ異なる色を湛えている。

砂漠に躍動する生命の存在

1年の中でわずか2,3カ月だけ現れる湖沼群とともに、生命もまた短い季節を謳歌するように現れる。砂漠によっては魚が生きている。乾季には水が消えてしまう砂漠で、魚たちはどのように生きているのだろう。
湖面をよく見れば、蓮の花もみえるだろう。水中に潜れば、意外に藻が多いことにも気づく。わずか2,3カ月のためだけに、生命はまるで霞の中から突如現れたかのように逞しく生き抜いているのだ。

砂漠に点在するオアシスは、カシューナッツの木立に覆われて、人々もまた暮らしている。かつてポルトガル領の時代に奴隷であった人々がレンソイスに逃げ込んだのが、レンソイスの人々の起源と言われている。今では砂漠に順応して、家畜の放牧と細やかな漁業で暮らしている。

レンソイス縦断:テント泊&ハンモック泊トレッキング3日間

砂漠でありながら、「水」と深い繋がりを持つレンソイス砂漠は世界で唯一無二の存在だ。

このレンソイス砂漠は、一般的な観光では、訪問時間はわずか2時間ほどだ。もったいないとしか言いようがない。
時間があるのであれば、3日間かけて、レンソイス砂漠を縦断したい。レンソイス砂漠のスケールの大きさを堪能できる。砂漠には過酷なイメージが先行するが、レンソイス砂漠には水が溢れている。地面は意外に冷たいのでトレッキング中は裸足で歩き、夜は風がほどよく涼しい。夜空を見上げれば、満点の星を望めるのも、3日間のトレッキングをするからこその経験だ。

関連ページ:レンソイス

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