目次
世界で2番目に透明度の高い湖、摩周湖とは
北海道の東部、“道東”にある摩周湖は、ロシアのバイカル湖に次いで世界で2番名に透明度の高い湖です。
摩周湖は火山活動で生まれたカルデラ湖です。約3万年前には始まった火山活動により、元々は富士山のような形をした標高2000mほどの火山であったと考えられています。その後7000年ほど前の大噴火で火山は吹き飛び、巨大なクレーターができました。このクレーターに水が貯まったのが摩周湖です。外輪山の崖は約500m前後に及び、さらに水深は100~200mの深さまで続きます。
1930年の調査では、ロシアのバイカル湖の透明度40.5mを凌ぐ41.6mで世界一の透明度を誇りました。現在の透明度は19mで、世界第二位となっています。
摩周湖は河川の流出入が無いことから、もともと魚類は生息していませんでした。しかし、1926年以降にニジマスなどの放流を行ったことが、透明度の悪化の原因ともいわれていますが、正確な理由は不明です。
魚類が持ち込まれる以前は、摩周湖には生物はほとんど生息してなかったために、かつてはバイカル湖を凌ぐほどの透明度を維持していたのでしょう。
現在、摩周湖は阿寒国立公園の特別保護区に指定されていて、一切の開発が禁止されているだけではなく、人の侵入も厳しく制限して保護されています。
かつて私は1980年代に何度か訪れていますが、今も当時と全く景色が変わらないほどにしっかりと自然は保護されているのです。
摩周湖はアイヌ語で「キンタン・カムイ・トー(山の神の湖)」と呼ばれ、中央に浮かぶ小島「カムイッシュ島」にはアイヌの伝説もあります。文字を持たないアイヌ民族は太古から口承(ユーカラ)で神話を継承しました。万物に神(カムイ)が宿ると考えるアイヌの人々にとって、摩周湖とはまさに神の島と呼ぶべき神聖な湖であったのでしょう。
摩周湖の深い青“摩周ブルー”
摩周湖の独特の色合いは「摩周ブルー」と呼ばれます。水深200mに及ぶ深さと透明度の高さ、そして火山から染み出す温泉成分も影響して、深い青色を宿していると言われます。
“摩周ブルー”を望む摩周岳
摩周岳(857m)は、摩周湖の外輪山の一部が再び噴火してできた山です。アイヌ語で「カムイヌプリ(神の山)」と呼ばれます。北海道にはカムイヌプリはいくつもありますが、なかでも摩周岳はまさに“神の山”と呼ぶべき神々しい山です。
摩周岳の山頂は爆裂火口の外輪山に当り、山頂からは摩周岳の爆裂火口と、摩周湖の大きなカルデラ地形を望むことができます。
“摩周岳”登山
摩周岳の登山は摩周湖の「摩周第一展望台」にある登山口からのルートが一般的です。展望台からは摩周湖の対岸に切り立つように聳える摩周岳が見えるでしょう。登山口から摩周岳の山麓まで、まずは約7kmほど外輪山を歩くことになります。
緩やかなアップダウンの道は素晴らしく展望が良く、そのスケールの大きな景色は北海道ならではと言えるでしょう。外輪山の稜線は木々が少なく、気持ちの良い笹原が続くため、摩周岳に続く道は大パノラマの展望なのです。
登山道の右側には斜面の向こうに、地平線まで根釧原野が広がります。北海道東部の広大な台地で、釧路湿原や根室、中標津まで及ぶ広大な平野です。
登山で後ろを振り返れば、雄阿寒岳、雌阿寒岳、阿寒富士などが望めるでしょう。登山道の進行方向に摩周岳が見え始めると、摩周岳の右側には西別岳が見えてきます。
外輪山ではダケカンバ、シラカバ、そしてエゾマツなどの樹木、山頂付近ではハナヒリノキやオニシモツケの灌木が生えます。春のお花の季節には、チシマセンブリ、スズラン、イワキンバイやイワギキョウが咲き乱れます。
山頂からのパノラマ絶景
摩周岳の山頂部は爆裂火口の切り立った断崖です。登山道はその裏側の林に覆われた斜面から山頂を目指します。山頂に近づくにつれて斜度が増すために細心の注意で登り・下りする必要のある道です。
急斜面の最期の登りを終えて林を抜けると、眼下に“摩周ブルー”の眩しいほどの青が目に飛び込んでくるでしょう。
摩周湖がいかに青いか、そして美しいか、それは山頂から望むと最も理解できるでしょう。360度の大展望で遮るものは一切なく、北海道の広大な風景を望みます。
登山のコースタイム
第一展望から摩周岳のコースタイムは、登り2時間半、下り2時間です。しかし、山頂付近の道は非常に急ですので、天候によっては大きく時間を取られる可能性もあります。
一般的には、往復で約5時間~5時間半、あるいは6時間ほどを考えておくと確実です。
フォトギャラリー:北海道・摩周湖
【動画】北海道・摩周岳登山:摩周ブルーの絶景トレッキング
「アンディーナトラベル&松井章 写真事務所 チャンネル」
https://www.youtube.com/user/AndinaTravelJP/
==★チャンネル登録はこちらをクリック★==
→→→ http://bit.ly/38DHeGc