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インカトレイルの基本情報
世界で最も人気のあるトレッキング・ルートとして、常にペルーの「インカトレイル」が上位に選ばれるのには理由があります。それはペルー旅行でマチュピチュ遺跡を行く方には最もお勧めする体験です。
この45キロのトレイルは、アンデス山脈の田園地帯から高原の草原帯、そしてアマゾンの雲霧林という様々な気候帯や風景の中を歩きます。そして、一般ツーリストが訪れることができない巨大な遺跡群を通り、三番にに刻まれたインカの階段や石畳を歩きます。
4日間のトレッキングを経て、インカ文明の珠玉の結晶である「マチュピチュ遺跡」へと導くでしょう。
また、体力に自信の無い方でも歩けるように、「日帰りインカトレイル」として最後の最も美しい区間を歩くことも可能です。
【高度】
- クスコ:3 350 m
- “聖なる谷”ウルバンバ:2 850 m
- マチュピチュ遺跡:2 470 m
- インカトレイル最高地点「ワルミワニュスカ峠(トレッキング2日目)」:4200m
【クスコの気温】
最高気温:約20ºC / 最低気温:-2ºC
【シーズン】
3月~12月
【高山病の予防について】
インカトレイル(インカ道)の起源
インカ道は、インカ軍の迅速な移動を可能にするために、そして帝国内の多様な地形を安全に通行するために、巨大な帝国に網の目のように張り巡らされた道でした。
全てのインカ道の中心は首都クスコであり、発達した道路網が大帝国の維持・管理に不可欠なインフラでした。インカ帝国の血管の役目を果たすネットワークであったのです。
インカトレイルの幅は交通量や地形により様々でした。6〜8メートルの幅の大きな道もあれば、山岳地帯を抜けるインカ道の幅はわずか1メートルほどで非常にアップダウンの激しい道であったりします。
この道で荷物の搬送をするのはラクダ科のリャマであり、商人やインカ軍の主要な輸送手段として使用されました。また、飛脚の「チャスキ」もインカトレイルのネットワークを利用していました。王族と神官だけが読める「キープ」と呼ばれる文書を運び、10キロごとに飛脚が交代することで、数千キロ離れた地区の情報も迅速に首都クスコに伝えられたのです。
南米大陸中に張り巡らされたインカ道も、ほとんどが破壊されて消えてしまいましたが、マチュピチュ遺跡へ続く45キロは当時のままで保存されています。これが「インカトレイル・トレッキング」です。
インカトレイル・トレッキングの難易度
インカトレイルで4日間のトレッキングで約45キロ歩きます。1日当りの平均歩行時間は約6~7時間です。トレッキング2日目が最もハードで約8時間歩き、標高3000mから歩き始め、4200mの峠を越えてから3600mのキャンプ場へ向かいます。
一般的には、日本の山を低山でも「歩き慣れ」していれば問題ないでしょう。標高の高い山に何回登ったかではなく、普段どれほど歩く体力を持っているかが重要です。
インカトレイルが世界的に有名な理由
4日間をテント泊で歩き、最後の峠「太陽の門(インティプンク)」を越えた時に現れるマチュピチュ遺跡を見た時の感動は、歩いた人でなければ分からないでしょう。日帰り観光とは感動の度合いが異なることから、世界中の人がこのトレッキングに憧れます。
そして、かつて南米大陸に張り巡らされた長大なインカ道の中で、ただ一つ保存された区間であるという考古学的な価値の高さで考えると、これほどのトレイルは世界でも唯一無二と言えるでしょう。
この区間は、インカ文明の核であるマチュピチュ遺跡へつなぐ、インカ道の中でも最も神聖な巡礼路として硬く守られていたのです。
「完全ガイド」の続き掲載予定について
完全ガイドは全3、4回に分けて掲載する予定です。