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ペルー・最高峰ワスカランの高原都市・ワラス
ペルー・アンデス山脈で、山岳写真やトレッキング・登山のメッカといえば、アンカシュ県のワラスです。ペルー最高峰ワスカラン(6768m)山麓に位置するワラスは、標高3050mの高原都市で“南米のスイス”と呼ばれます。ワラスを覆う巨大な氷雪峰の山脈を「ブランカ山群」と呼びます。
山岳写真を撮影しにアンデスの農村を目指す
アンデス山脈らしい風景といえば、白い山並みとそこに生きる人々の姿でしょう。素朴な生活風景を求めて、ワラスからワスカラン峰の山麓を目指しました。
アスファルトの道から、ガタガタの未舗装の道路をユーカリの森へ入り、車の天井に頭を何度もぶつけるほど揺れます。ユーカリの木は外来種ですが、生育が早いことから薪用に南米大陸に広く分布しています。アンデス山脈でも人里に生える木のほとんどはユーカリの木です。
標高4000m近くに上がると太陽光線はより鋭くなり、木漏れ日もなかなか強烈です。ラジオから無造作に流れる陽気なラテン音楽に身を任せていると、とつぜん視界が開けて目の前にアンデス山脈の白い峰が現れました。
素朴に生きるケチュア族の家族と名峰ワンドイ
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草原の彼方の氷壁は名峰ワンドイ(6360m)です。最高峰ワスカランも望めます。この真っ白な峰々が山麓に水をもたらすことで、ブランカ山群の周囲には広大な畑作地帯が広がります。ジャガイモ、キヌア、トウモロコシなどを栽培して、アンデスに暮らす人々“ケチュア族”はインカ帝国以前から約3000年は畑作で生活しています。
小さな村のはずれにテントを張り、ブランカ山群の名峰を撮影する山岳写真の準備をします。太陽の角度に合わせて刻々と変化する山岳風景を望みます。夕日の撮影の準備を済ませた後で、村を歩きます。村人も異邦人の我々に少し慣れてきたこともあり、話しかけたり写真を撮ることもできるようになりました。
ジャガイモを収穫していた老婆に話しかけて仲良くなると、記念写真を撮影することになりました。民族衣装の一張羅に着替えて、少し硬くなりながら、カメラのファインダーをじっと見つめます。
ゴンゴンと流れ去る雲と、白く煌めくアンデスの峰に溶け込むように、ケチュア族の民族衣装は原色で映えています。根を下ろして生きる人が持つ独特の存在感を、眩しく見つめながら写真を撮りました。