太平洋の絶海の孤島・イースター島に、モアイという類い稀な遺跡を残した文明が存在していた。
広大な世界地図を前にすれば、イースター島をすぐに見つけられる人は少ないのではないだろうか。
イースター島は南米・チリに所属するが、首都サンティアゴからは空路で約5時間かかる。空港に降り立てば、空気も文化もそこは南米ではなく、ポリネシアなのだと肌で感じるだろう。
ポリネシアとは、ハワイ、ニュージーランド、イースター島を結ぶ三角形の広大な海洋文化圏だ。イースター島はその東端にあたるが島々と直接的な接触は無く、伝説や神話のような古い時代の繋がりがあるだけだ。
とはいえ、言葉の音を聞くだけでも、そこにポリネシアとの関係を感じることができる。言葉、人々の顔つき、そして澄み渡る空気に通じるポリネシア独特の雰囲気に、古代の海洋文化の鷹揚とした気高ささえも感じてしまう
イースター島の人の歴史は意外に浅く、西暦800年ほどに、ポリネシアのどこかから、長い航海を経てたどり着いたと言われる
島中に点在するモアイは、実は想像されるほどに古代の遺物ではなく1600年代まで制作されていた。ヨーロッパ人が大航海時代に初めてイースター島にたどり着いたとき、モアイはまだ林立して崇められていた。
ヨーロッパが近代に突き進む時代に、ひっそりと終焉を迎えたイースター島の文明に、いったい何が起こったのだろうか。
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