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巨大な祭壇:ケンコー遺跡
ペルー・インカ帝国の都・クスコ周辺に点在する聖なる遺跡の一つ、ケンコー遺跡は、他の遺跡と異なる芸術品です。
かつて宗教の儀式で使用されていたという遺跡は、巨大な数枚の石灰岩で構成されています。
この巨岩の表面・内部を徹底的に彫ることで、複雑怪奇な階段や祭壇が岩全体を覆っています。他の遺跡とは、まったく違う目的で作られたのは一目瞭然なのです。
鬼気迫る彫刻に覆われた巨岩には、この世ならぬ不可思議な雰囲気をビりビリと感じさせます。
とても設計図があっとは思えず、無限に連鎖するイメージの結果で長い年月で作られた一種の芸術品と言えるでしょう。
インカの聖なる3種類の神聖な動物
この遺跡が持つ重要な世界感を、この遺跡の彫刻群から少し垣間見ることができます。
岩を表面は天上の神様(コンドル)に捧げる祭壇であったそうです。祭壇の間には細い溝が掘られていますが、これは生贄の地を流したと言われます。
巨岩の間や底の薄暗い部分にも、祭壇がいくつもあります。これは地下の神様(蛇)に捧げる祭壇でした。巨大な石のベッド状の祭壇では、ミイラを作っていたと言われます。
巨岩の横には、約5mほどの細長い巨岩が建っています。これは玉座と言われたりしますが、大地の神様(ピューマ)を象徴したと言われます。
このケンコー遺跡では、天・大地・地下の3層の神様を讃えた、インカ文明で最も重要な祭壇であったのです。
インカ文明、そしてインカ以前のプレ・インカ時代の人々の、「岩」への特別な想いが伝わる遺跡ではないでしょうか。