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チキタニアのミッションとは
チキタニア地方には、17世紀前後に「伝道村(スペイン語:ミシオン、英語:ミッション)」に建設された古い教会が、約10個ほど残っています。これらの教会は、今も先住民チキタノ族によって大切に管理されて、現役で使用されています。
教会とはいえ、先住民チキタノ族の世界感を多く取り入れているので、教会というよりは寺院という雰囲気です。大木の列柱を基本に、木材で作られた教会はどこかアジア的でもあります。
ミッションでは、イエズス会の宣教師たちとチキタノ族による自給自足の生活で、支配国であるスペインからも距離を置いていました。
先住民チキタノ族のキリスト教への教化を目的とした村は、ある種の理想郷を目指していたのです。
音楽と彫刻、そして農業による生活です。
1767年にイエズス会はスペインから追放されると、ミッションも閉鎖されます。パラグアイやアルゼンチン北部にあるミッションはそのまま廃墟となりますが、チキタニアの旧ミッションの運営はそのままチキタノ族によって行われていました。
改宗の手段として用いられた音楽と木彫などで、芸術の才能を開花させたチキタノ族は今も芸術を愛する人々です。
ミッション最美の「コンセプシオン教会」へ
チキタニアのサンハビエルからさらにアマゾンの奥地へ向かうと、コンセプシオンがあります。
人口数千人の小さな村の中心に、チキタニアで最も美しいコンセプシオン教会があります。
コンセプシオンは、1699年に建設されたミッションです。
教会の建設は、マルティン・シュミット神父の監督の下、1753年から1756年にかけて行われました。
実際に建築をしたのは、チキタノ族の人々でした。
3列の木彫りの円柱、祭壇を始め、絵画も、チキタノ族の人々の手で作られました。
当時は、大木もたくさん生えていたので、列柱となる木材も簡単に手に入りました。
今では、開発が進み、森林は減少の一途を辿っているので、現在ではこれほどの木材を集めるのは不可能と言われています。
200年以上の時を経て、1975年にスイス人建築家ハンス・ロートによって教会は修復されました。