目次
ボリビア・アマゾンの「伝道所(ミッション)」とは
ボリビアは、南米大陸の中央にある内陸国です。
主にウユニ塩湖などのアンデス高原(アルティプラーノ)のイメージが強い国ですが、実際には国土の3分の2がアマゾンの熱帯気候です。
そのアマゾンの入口にあるのが、「チキタニア地方」です。
日本の半分くらいの面積の地域に熱帯雨林を始め、熱帯乾燥林やサバンナの乾燥平原が広がり、先住民チキタノ族が暮らしています。
そして、この地域を魅力的にしているのは、チキタノ族の信仰深い文化です。
チキタノ族は、自然崇拝(アニミズム)とともに生きていましたが、18世紀にスペイン人が侵略の手を伸ばしたことで、彼らの文かも大きく変化することになりました。
当時、パラグアイ方面に暮らすグアラニー族と同じく、スペイン人の侵略に激しく抵抗していました。スペイン人はキリスト教のイエズス会の宣教師を送り込み、まず宗教の改宗を試みます。
その中で、イエズス会は「音楽」や「木彫」などの芸術を通して、彼らの心を掴みキリスト教へと改宗させていきました。
改宗とともに築かれたのが、「伝道所(スペイン語:ミシオン、英語:ミッション)」でした。
伝道所(スペイン語:ミシオン、英語:ミッション)は、宣教師がチキタノ族を一カ所に集めて、キリスト教を中心とした自給自足の共同体です。
この伝道所を通して、チキタノ族は、自然崇拝(アニミズム)をキリスト教に融合させることになりました。
伝道所の中心に築いた教会もまた、先住民チキタノ族の宗教観を反映した独特なデザインです。彼らは、芸術に才能を持っていたので、自分たちでそれらの教会を築きました。
石で作るスペイン人の教会と異なり、チキタニアの教会は木材を中心としているのも特徴です。
多くの教会は、ヨーロッパのバロック様式に、チキタノ族の芸術が融合したことから、「メスティーソ・バロック様式」と呼ばれる芸術様式です。
サン・ハビエル教会
サン・ハビエル教会は、1749年に設立されたチキタニア最初のイエズス会伝道所(ミッション)の一つです。ここに伝道所が開設されたのは1691年で、当時はこの教会の場所には、音楽学校と楽器を作る工房がありました。
見事なメスティーソ・バロック様式の教会で、黄色・茶色・黒を基調としたデザインが、この教会の特徴です。この教会に描かれた絵画や描画の7割が、最初の建築時のオリジナルです。
1749年から1752年の間に、シュミッド神父が主導して建設して、1987年から1993年にかけてスイス人建築家ハンス・ロートの指揮の下、完全に修復されました。
サンタ・ロサ・デ・ラ・ミナ教会
この教会は、サン・ハビエルの手前、チキタニア地方の入口にあった小さな村の教会です。
金の鉱山の開発を生業とする人が暮らす小さな村です。
森の中にある素朴な教会です。
金色を基調としているのは、金鉱にあるからかもしれません。