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チリ・アタカマ砂漠「奇跡の花園」
地平線まで枯れ果てたアタカマ砂漠は、世界で最も乾燥した大地の一つだ。
この砂漠が数年に一度、わずか10日間だけ花に覆われる。上空の飛行機から見ると、砂漠が花の色に輝いているように見えるほどだ。
中でも、砂漠で多く花は「パタ・デ・グアナコ(スベリヒユ科)」だ。紫の花は、まさに絨毯のように砂漠を地平線まで覆う。
この奇跡のような現象は、3、4年に一度発生する太平洋のエルニーニョ現象と連動している。チリ北部の太平洋に位置するアタカマ砂漠へ流れ来る湿度が特に多い年に、花々は一斉に芽を出し、同時に花を咲かせる。わずか10日ほどだけ砂漠を花で埋め尽くす。
花の開花に合わせて、蝶もまた大量に発生する。まるで示し合わせたかのように、数年の間も待ち続けた芋虫は時期を同じくして蝶へと孵化するのだ。
地球がまるで鼓動するかのように、及びもつかない大地のエネルギーとともに、生命もまた爆発するように現れて消えていく。
絢爛でいて儚い、幻のような絶景だ。