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風景写真家・松井章のブログ

北極クルーズ⑤:北緯80度の海氷帯へ

クルーズ乗船3日目AM/北緯80度・水平線まで広がる海氷


朝起きると、船は陸地を離れて北へ向かっていました。南側には遠くスピッツベルゲン島の北岸の山脈が見渡せます。

海には徐々に流氷(または海氷)が増えてきました。流氷(または海氷)とは海水が凍結してできた氷です。

淡水と異なり、海水は凍りにくく、融点は-1.8度です。北半球でいえば、海水が凍るのは北極海とその周辺の一部の海域(バルト海やオホーツク海、ベーリング海)のみです。

北緯80度を越えると、海氷はいよいよ厚くなってきました。まるで氷の板のような海氷がびっしりと海を埋め尽くしていました。

北極海を覆う巨大な海氷


北極点(北緯90度)を中心に、北極海を覆う巨大な海氷域(または流氷)は、最大時(2~3月)には面積は約1400万㎢でオーストラリアの約2倍もの面積となります。そして、最小時(8~9月)には面積は470万㎢ほどに縮小します。
真冬の最大時にはスバールバル諸島の北岸部も海氷に接します。

この巨大な「氷の大陸」のような海氷を中心に、ホッキョクグマ(シロクマ)は生息しています。
海に浮かぶ氷の上で生きるために進化したホッキョクグマの歴史は意外に新しく、約15万年前にヒグマから分化したと考えられています。
ホッキョクグマは主にアザラシを捕食して生きています。アザラシが潜水の途中に息継ぎをする呼吸用の穴で待ち伏せをしたり、氷上で休んでいるところを襲ったりして捕食します。
ホッキョクグマの生存に氷は不可欠なことから、温暖化で海氷が縮小するいま生息数は激減しています。

クルーズ船は、ホッキョクグマを探しに北緯80度の海氷域まで来ました。
とはいえ、26000頭いると言われるホッキョクグマを、この巨大な海氷域で見つけることは容易ではありません。

今回は、海氷域の到着後しばらくホッキョクグマを探していましたが、残念ながら見つかりませんでした。

PM/ゾディアックボートで海氷に接近


午後、ゾディアックボートに分乗して、海氷に近づきました。

海氷は海水が冷やされて凍ったものなので、厚くても1~2mあるだけです。この氷が水平線まで雪原のように広がっています。

ガイドはときおり望遠鏡で海氷の彼方を見てホッキョクグマを探していたようです。

一言で「海氷(流氷)」といっても、板のような分厚い氷から、蓮の葉のような生まれたての氷まで、実に様々な状態があります。
氷の氷上を見ながら海上で過ごす一日でした。

動画「北極クルーズ」

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「北極スピッツベルゲン・クルーズ」関連ページ

北極へ①:春のノルウェー・オスロの街歩き

北極へ②:北緯78度、極北の町で「探検クルーズ」に乗船

北極クルーズ③:極地で必須のゾディアックボートで野生動物を探す

北極クルーズ④:ラウド・フィヨルドの氷河の絶景

北極クルーズ⑤:北緯80度の海氷帯へ

北極クルーズ⑥:残雪のフィヨルドを歩く

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北極クルーズ⑧:パフィンを探しに海鳥の営巣地へ

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