南極大陸を旅していると、思った以上に野生動物の気配が漂うことに驚くだろう。特に南極大陸で存在感ある動物がペンギンだ。
気候変動などの影響で生息数の増減が激しいが、この数年はペンギンの生息数は増えていて、約800万羽とも900万羽ともいわれている。
南極の夏に当たる11月から2月にかけて、ペンギンは陸上にコロニー(ルッカリー)を形成する。この時期、地肌が露出する場所は、ほとんどがペンギンに占拠されているかのように、南極の沿岸では延々とペンギンのコロニーが広がっていた。
写真は、イギリスの観測基地「ポート・ロックロイ」。
人を恐れないペンギンにとって、ポート・ロックロイの敷地もまたコロニーに最適な場所なのだろう。
南極において、人は訪問者に過ぎないことを実感するような光景だ。
押し寄せるような巨大な氷河に覆われた氷の大地で、人もペンギンも僅かな地肌を見つけて、寄り添うように生きている。
とてつもない自然の力を前に、非力な生命は逞しく生き延びていた
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