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クーバービル島にて -探検船で行く南極クルーズ-
氷山の間を縫うように、ゾディアックボートはクーバービル島の砂浜に接岸した。
ここからが、いよいよ南極大陸だ。
クーバービル島のジェンツーペンギンのルッカリー(集団営巣地)は、まさに「ペンギンの楽園」と言って良いだろう。
岩が剥き出しになった場所がペンギンにとって格好の住処となるのだが、当然ながら南極大陸が広いといえども、その大半は氷に覆われている。
このためペンギンの住処は特定の場所に集中して、人口密度(?)は極めて高くなるわけだ。
氷の上でも過ごせるのだろうが、陽が当たれば岩には熱がこもる。温かい岩場こそが住処になる。
もちろん集団になることで身を守るためもあるだろう。
それにしてもペンギンが多い。
ペンギン・ハイウェイ
山の上を見上げると、上の岩場にもペンギンがたくさんいる。
雪の斜面には、幾本ものトレイルが見える。つい歩きたくなるのだが、南極で雪面にトレイルがあった場合、それはペンギンの道だ。
名付けて、「ペンギン・ハイウェイ」と呼ばれる。
腕を振りながら、2本足でヨチヨチ歩きながら、何度も滑って転びながら、ペンギン・ハイウェイを登り下りしている。
ペンギンそれぞれに思いがあり、あちこちに忙しく動いているのだろう。
ついつい擬人化して、人間社会を滑稽に表現しているようにも見える。
いずれにせよ、ペンギン社会も楽ではなさそうだ。
過酷な生存競争の現場は、これからたくさん見ることになるのだ。