ダンコ島の標高300mほどの山頂に登ると、南極大陸の氷河と海が織りなす絶景が広がっていた。
山頂部にもやはり多くのペンギンがいる。
小さななペンギンがこの山頂にたどり着くには、いったい何時間歩いて来たのだろうか。
大変な苦労をしてペンギンが山頂を目指す理由は不明そのものだ。
一つ言えることは、上に登れば登るほど、景色は良くなるということだろう。
山頂部の小さな雪原に、一羽だけポツリとペンギンが立っていた。
もくもくと湧いてきた霧とともに、どこか物憂げに遠くを見つめているかのようだ。
雪面を見ていると、赤や緑の染みが見える。
赤、緑、黄色など、南極半島ではあちこちの雪面に、うっすらと色がついていることに気づくだろう。
これは氷雪藻と呼ばれる藻類の一種のコロニーが出している、命の色だ。
多くの野生動物を始め、藻類や地衣類など、実は多くの生き物が南極を拠り所に生きている。