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ネコハーバーに上陸 -探検船で行く南極クルーズ-
氷河にぐるりと囲まれた「ネコハーバー」は、壮大な氷河のアンフィシアター(円形劇場)だ。
快晴のネコハーバーは日差しが強く、氷河や雪面が激しく乱反射している。
まるで世界がハレーションしているようだ。
気温は10度以上あるだろうか。
高さ50m~60m前後の氷河の末端部は、ときおり轟音とともに崩れていた。
クルーズ船からゾディアックボートに乗り換えるときは、ネコハーバーは氷河そのものに見えて、どこに上陸するのか分からないほどであった。
あまりにも巨大な氷河の中で、自身のサイズ感や遠近感がずれてしまったのだろう。
ボートで5分も移動すると、上陸ポイントが見えてきた。
背景となる氷河と比べれば、まるで薄皮一枚の陸地であるが、近づけば上陸ポイントの浜はかなり大きいと分かってきた。
岩場にはお馴染みになりつつある「ジェンツーペンギン」が大量に営巣していた。
どこまでも青い空の下、晴天の海はどこまでも凪いでいる。
海面は鏡のようになり、氷河を反射していた。
ネコハーバーを取り囲む氷河の源流は、巨大な氷原だ。
地図を見れば、南極半島で地面が露出するのは、山と浜だけだと分かるだろう。
日本の何倍もある巨大な氷原から、数千・数万の氷河が流れ出し海に流れ込んでいる。