目次
クールビル島にて -探検船で行く南極クルーズ-
氷河から崩れ落ちた氷塊は、南極の海のあちこちに浮いている。
クールビル島の海岸は静かな内湾に面しているので、氷塊が大量に流れ込み、内湾にぎっしり漂っていた。
このような場所は、アザラシにとって格好の休憩場所となるのだろう。
陽が最も高い正午は、アザラシの昼寝の時間であったようだ。
氷塊の上には、ウェッデルアザラシとカニクイアザラシが眠っている。
ウェッデルアザラシは縞々の模様が特徴で、カニクイアザラシは真っ白なのが特徴だ。
アザラシの昼寝を見ながら、ゾディアックボートは、さらに氷塊が密集する場所へ入り込んでいく。
ゾディアックボートは、約8人乗りのゴムボートに船外機を付けた機動力のあるボートだ。
強化ゴムでできた船体は丈夫で、南極クルーズでは大陸の上陸に欠かすことのできない道具だ。
乗客がわずか100人ほどの探検船では、ゾディアックボートの機動力をうまく使い、午前・午後、たっぷりと外で遊ぶことになる。
正午の凪いだ内湾で、氷塊の間を縫うように進むと、グレイシャー・ブルーの見事な造形の数々が少しずつ見えて来た。
ゾディアックボートはさらに奥深く、氷塊の回廊の中へと静かに向かう。