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ジェルラッシュ海峡にて-探検船で行く南極クルーズ-
南極クルーズのモーニングコールは、チーフ・ガイドによる船内放送だ。
朝6時に、船内放送で、船はいよいよ南極大陸に到着して、ジェルラッシュ海峡を通過していることを告げられた。
慌てて飛び起きて部屋のカーテンを開けると、朝焼けに橙色に染まる山々が目に飛び込んできた。
過ぎ行く景色には、延々と氷河と山が連なる。
イメージ通りの南極的な景色だ。
デッキに出ると夜明けの空気はキリッと冷えていた。氷河から吹き下ろす風の冷たさは、さすが南極だ。
左右どちらにも、どこまでも延々と氷河が連なっていた。
朝焼けに世界が染まる時間帯は、一瞬だけ訪れる陶酔の時間だ。
山々の色は刻々と絶え間なく変化していき、徐々に神秘的な色彩は失われ、陶酔は崩壊してしまう
午前中の上陸地点に近づき、船が速度を緩めると、ミンククジラが現れた。
船の様子を伺うように、クジラ独特のペースで船の周囲をゆっくりと回遊していた。
南極大陸の最初の上陸地は、クーバービル島だ。