ジミーエンジェルがエンジェルフォールを見つけたのは、1933年の事であった。
セスナ機のパイロットであった彼は、金鉱探しをする途中、偶然アウヤンテプイの裂け目に巨大な滝を目撃したのだ。
岩塔と雲の隙間を縫うように飛んでいる時に現われた滝の前を、きっと数回の旋回をしながら、食い入るように見つめて去って行ったのだろう。
1937年、彼はエンジェルフォールを再訪する。そして、エンジェルフォールの上にセスナ機を着陸させた。
アウヤンテプイ山上に、セスナ機を止める平らなスペースなどあるはずもない。
エンジェルフォールに着陸する望みは果たしたが、セスナ機の損傷は激しく、彼は妻とともに2週間かけて徒歩で下山している。
この冒険に由来して、滝は「エンジェル・フォール」と名付けられた。
彼が残したセスナ機は1970年に、ベネズエラ軍に回収されることになる。
今でこそ、エンジェルフォールにたどり着くのは簡単な事であるが、ほんの数十年前は世界でも屈指の秘境であった。
その秘境の雰囲気は、今もまだ十分に残っている。
滝を見上げながら、かつて上空で魅せられたジミー・エンジェルの冒険に思いを馳せてみるのはどうだろうか。