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紅葉と黄葉に染まるアラスカの大地
アラスカの短い秋は、1年の中で最も美しい季節ではないだろうか。紅葉と黄葉、そして夜空はオーロラで彩られる。
そんな全ての美が同時に現れるような絶景を、秋であれば望めるかもしれないのだ
秋はとても短く、8月下旬から9月上旬にかけて、わずか2週間ほどで駆け抜けるように季節は過ぎ去っていく。
永久凍土帯のツンドラは、アラスカ中部・北部に広く分布する極北の風景だ。地下が緩いために森は育つことができず、地平線までなだらかな原野が広がる。
丈の低い灌木のほとんどがブルーベリーの木だ。甘く熟したブルーベリーの実を食べながら歩くのは、この季節ならではの体験だ。ブルーベリーの実を摘むことに没頭していると、あっという間に時間が経つ。それはクマにとっても同じことで、彼らもこの季節はブルーベリーを大量に食べることに夢中で、長い冬に備えている。ツンドラの原野でクマと鉢合わせしないでね、といったジョークは実は十分ありうるリアルな注意であったりするのだ。
ブルーベリーが赤く色づくとき、地面に這うように生えたウラシマツツジも真っ赤に紅葉する。
デナリ国立公園の奥地や、タルキートナ郊外のカリブーロッジなどは、果てしないツンドラの原野に覆われているので、世界は真っ赤になる。
この季節、森の木々は黄葉する。シラカバやアスペンの木々は、黄色に輝いているだろう。
オーロラ観測のベストスポット
秋は、オーロラ観測のチャンスでもある。春・夏は白夜でオーロラを見ることはできないが、秋は日暮れも早く、条件が良ければオーロラを見れる可能性が高い。この季節にオーロラを見るならば、北極圏まで北上しない方がオーロラは見やすい。緯度の高い北極圏ではまだ陽は長く、空が暗くなる時間が短いからだ。そう考えると、デナリ国立公園の周辺は秋のオーロラ観測には最も良い場所だ。
秋のオーロラ観測は、冬の過酷な寒さを体験しないで良いので、防寒具を整えていれば外でオーロラを見上げていても凍えないのだ
特に、タルキートナ郊外のツンドラの原野に建つカリブー・ロッジは理想的な立地だ。周囲に木が生えていないので、視界を遮るものがなく、360度の全天を見上げることができる。そして人工の灯りは一切なく、宿泊者も最大6名なので、ほぼ地平線までの景色を貸切ることができるのだ。周囲には道さえもないので、セスナ機のみが唯一の交通手段だ。
カリブー・ロッジの北側には、北米最高峰デナリ(マッキンリー)の山塊が屏風のように聳えている。オーロラは北極圏側に現れるので、カリブー・ロッジからオーロラを望む時、デナリ山塊の上にオーロラが現れる可能性が高いだろう
アラスカの秘境に孤立するように建つロッジは、それぞれ魅力的なのだが、秋の紅葉とオーロラ観測を踏まえると、デナリ周辺が一番のお勧めだ。フェアバンクスとアンカレジを結ぶアラスカ鉄道を利用して、鉄道の旅も漫喫できるのだ
関連ページ:アラスカ
モデルプラン「デナリ国立公園キャンプ・デナリ+カリブー・ロッジ」
1日目:フェアバンクス着
2日目:フェアバンクス→<アラスカ鉄道>→デナリ国立公園入口
3日目:デナリ国立公園入口→キャンプ・デナリ(ノースフェイスロッジ)
4日目:キャンプ・デナリ(ノースフェイスロッジ)滞在
5日目:キャンプ・デナリ(ノースフェイスロッジ)滞在
6日目:キャンプ・デナリ(ノースフェイスロッジ)→デナリ国立公園入口
7日目:デナリ国立公園入口→<アラスカ鉄道>→タルキートナ→<セスナ機>→カリブー・ロッジ
8日目:カリブー・ロッジ滞在
9日目:カリブー・ロッジ→<セスナ機>→タルキートナ→<アラスカ鉄道>→アンカレジ
10日目:専用車で空港へ