アラスカの原野に建つロッジ、キャンプ・デナリから手紙が届きました。
「Ptarmigan Tracks」という会報誌は、アラスカらしいセンスの素敵な冊子です。Ptarmiganとは「ライチョウ」です。アラスカでは簡単に遭遇できるとても身近な鳥です。国際郵便で届いた封筒からは、たっぷりとアラスカが伝わってきました。
昨年の8月、ツアーで同行したアラスカでは、キャンプ・デナリに3泊しました。アラスカで最も有名なロッジなので、部屋は1年近く前には満室になるほどの人気です。キャンプ・デナリでは滞在中は全てが整然と用意されているので、北米最高峰デナリ(旧名:マッキンリー)の山麓でハイキングだけを楽しめるようにシステムが完成されています。
なかなか天候が良くならず、デナリが姿を現さない中で、少しヤキモキしていたことを思い出します。天に想いは届かないもので、どんよりとした空からは雨さえも降り、シャレーの薪ストーブに火をくべながら暖を取っていたものです。
雲間からデナリが姿を現したのは突然でした。うっすらと徐々に雲が上がり始めると、デナリの巨大な白い北壁が現れます。標高1000mほどのツンドラの原野から、デナリ山頂(6190m)までは標高差約5000mもあるわけで、雲は上がっても上がっても、山頂は姿を見せません。それほどに、デナリの山容は巨大なのです。
その後、いくつもの幸運に恵まれて、デナリ山麓の氷河(約3000m)に着陸して山岳展望を満喫できたのは、山の神様の贈り物と思っています。
秋を迎えるツンドラの原野は、草紅葉が徐々に色を変えていました。冬を目の前にして、リスは忙しく木の実を口に詰めて走り回っています。
その後、キャンプ・デナリから、南麓のカリブー・ロッジに場所を変え、野生のトナカイ・カリブーを間近で何頭も見て、オーロラさえも望めたのは、昨年の秋の素晴らしい思い出です。