「手の洞窟」から望むセロ・カスティージョには、先住民の視点を仮想する物語性があった。
セロは「峰」、カスティージョは「城」を意味するスペイン語だ。
中部パタゴニアも、アンデス山脈を境に太平洋側は降水量が多いので、セロ・カスティージョのすぐ南には、パタゴニア北部氷床が形成された。
フィッツロイやパイネ周辺の南部氷床と同じく、無数の氷河の水源地だ。
氷床の東側には、巨大な湖ヘネラル・カレーラ湖(チリ名)がある。アルゼンチン名は、ブエノスアイレス湖だ。湖の西岸には“青い洞窟”として少し有名な「カピージャ・デ・マルモル」がある。
湖の東岸に抜けると、気候は乾燥したステップ気候に変わる。パタゴニア独特の草原が果てしなく広がる。
南部パタゴニアまでは陸路で約20時間、この大草原がひたすら続く。