ワラス近郊の村へ、夕方のワスカランを望みに行く。
電線や建物の屋根が写真に入らないように、村の高台を探した。
外国人はまず来ないような生活道だ。
ワスカランは雲の中に隠れているが、周囲の雲は徐々に散っている。
日没までは時間があるので、しばらく待つことにした。
現地ガイドは近所のおばちゃんを捕まえて、ケチュア語でなにやら熱心に話を始めていた。
村の階段や建物に使われている多くの石は、付近で出土した遺跡の一部を使っているらしい。
この村は比較的新しく、耕作が始まったのもこの数十年のことなので、畑を耕すと大量に古代の遺物が出土する。それは段々畑のブロックであったり、石臼であったりする。
現地ガイドは、その出土品の一つに目を付けて熱心に交渉していたようだ。
日没の時間に、ワスカランが幸運にも雲間から姿を現して、わずかながら夕焼けに色づいた。
写真を撮り終えて高台を下りる時には、
ガイドの部下は、大きく重そうな石の塊を抱えて歩いていた。